赤い狼 四
「そんな事してない!」
「じゃあこの痕何だよ。」
さっきから私が《SINE》に居ない間に、何処かの誰かとエロい事をしていると言い張る隼人に否定の言葉を返すと、
隼人は隠す事なく眉間に皺をクッキリと刻んだ。
「はっ?隼人はさっきからアトアトって、何言ってるのかサッパリ分かんないんだけど!」
「脇腹に蹴り入れんな。アトじゃなくて痕だ。さっき言ったろーが。」
「痛っ!頭殴るな!だから何がっ「はい、チョットごめんね。」」
隼人と私が言い合いをしていると(もはや取っ組み合い)奏がソファーの後ろからチョコッと顔を出して私の左耳を触った。
「ひゃっ、」
奏の手が冷たくて思わず声が出た。
慌てて口を両手で塞ぐ。
でも、もう遅かった。
隼人は私を見てニヤニヤ………なんてしておらず、迫力のある切れ長の目でギロリと睨んでいらっしゃった。
「ひぃっ!」
あまりの怖さに上ずった声が口から漏れる。