赤い狼 四





「稚春、俺の時はそんな声出さねぇ癖に奏が触ったら出しやがんのか。」



「何の話!?」



「お前の声の話だろーが!!」




目の前でわなわなと震える隼人に首を傾げる。



私の声の話をしてどうするの?変な隼人。




考えたけど分からなかったから止めた。


まぁ、分からなくても生きていけるし?



そんな事を思いながらまだ握った拳震わせている隼人を目の端で見ていると




「俺がテクニシャンなんだよねー?」




ソファーの背もたれの上にコテンッと顔を付けて満面の笑みで笑う奏と目が合った。




ね?ね?と可愛ぃ顔で嬉しそうに聞かれて質問の意味も分からないまま


うんっ。


と答えた。




するとさっきまで何故か震えていた隼人が今度は固まった。



なんか最近、隼人はおかしい人になってきた気がする。




「隼人?」




隼人のキャラの崩壊を感じながら隼人に声を掛けるけど、全くの応答なし。




放っておくべきなのかと迷っていると




「へっ!?」




後ろから伸びてきた手によってソファーから持ち上げられた。




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