赤い狼 四





「失礼しまーす。」




驚いて顔を後ろに向けると銀が私を見上げて"高い高い"の状態でキープしていた。




「ちょっ、降ろして!!」




さすがにこれは恥ずかしい。



塚、両脇に手が当たってる!それ少しでも下にいったら胸だぞ!?




"高い高い"なんて高校になってからされた事がある訳がない私は、ほとんど錯乱状態になりつつあった。



でも、その間も銀は



「ほー。へぇ~。稚春ちゃんがねぇ。やるじゃねぇか。」



と暢気にブツブツ呟きながらニヤニヤとしていた。




しかも終いには……




「なんならこのまま"ゼアン"行くかぁ?この銀様が気持ちイイことしてあげようじゃねぇか。」




とかハレンチな事を抜かしてきて、より一層、錯乱状態になった。




「誰がお前なんかと行くか!」



「えー、何でだよ。俺だったら奏の時よりイイ声で啼かしてあげるのに。」



「結構です!」




き、危険だコイツ。私の事を密かに狙ってやがる。



足をバタバタとばたつかせながら


「離せ!!この歩く変態スケベ野郎が!」



と力の限り叫ぶ。




マジで銀は危険大だ。




< 44 / 457 >

この作品をシェア

pagetop