赤い狼 四
バタバタと暴れる私を見て、銀がわざとらしくため息をついた。
伏せがちになった瞼から覗く銀の青がかった瞳が横から射し込んできた陽射しに照らされて妖しく光る。
それに少しドキッとして慌てて後ろに向けていた顔を前に戻した。
でも銀は私を床に降ろして私の横の髪を耳に掛け――――
「なぁ、稚春ちゃん。頭が真っ白になるくらいの快感を味わいてぇと思わねぇか?」
後ろから耳元で妖艶に囁いた。
「…っ、」
とてつもない妖しい囁きに息を呑む。
ハァッ、と耳を擽る銀の吐く息に体がビクリと大きく反応し、時々さらりと首に当たる銀の長めの髪が私の思考を停止させる。
「なぁ、稚春ちゃん…。俺と「糞銀!死ねぇえええぇえ!!」ブフッ!」
もうこれ以上は耐えられない!と目を瞑った瞬間……
私の後ろからのあの、妖しいオーラを漂わせた物体はなくなり、代わりに鈍い音が聞こえてきた。
何で?と目を開けると疑問はすぐに解けた。