Tokyo Midnight
Tokyo Midnight【9】
「お前が好きだ」

その言葉を、彩斗さんの腕の中で聞いていた。

それはひどく真剣な声で、切なくて愛しくて・・・

ゆっくりと顔を上げると、彩斗さんの大きな手がそっと私の頬を包み込んだ。

「・・・し・・信じられない・・・」

嬉しいと思う気持ちとは裏腹な言葉が口から零れ落ちる。

「・・・どうしたら信じる?」

見つめてくる瞳も真剣そのものなのに、私はまだ信じられなかった。

「・・・この指輪、その人のものなんじゃないの?」

私は左手の薬指にはめられている指輪を差し出した。

「・・・・」

彩斗さんはその指輪を私の指からはずすと、ポケットから小さな箱を取り出した。
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