Tokyo Midnight
彩斗さんが連れてきてくれたのは、かなり有名な料亭だった。

着物、習っておいて良かった・・・と心底ほっとした。

目の前には彩斗さんのご両親と私より少し年上の女性が一人。

しーんとした個室に時々カコーンとししおどしの音が響き渡る。

「こちら、松下美菜子さん、結婚を前提にお付き合いしています」

彩斗さんはいつも通り落ち着いた表情で私を紹介してくれる。

「彩斗さんにはいつもお世話になっております」

そう言って頭を下げると、ふんとお母様が鼻を鳴らす。

ドキリとした。

「彼女と結婚することに決めました」

その言葉に再び胸が高鳴る。

でも、その高鳴りを低い声が突き落とした。
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