Tokyo Midnight
押し倒されるような形で押し込まれ、着物の裾が乱れてしまう。

「・・・誘ってんの?」

彩斗さんはそこから見える生足にそっと指を這わせた。

「ち、違います!!」

「あんま煽るなよ」

そう言いながら、彩斗さんは体勢を直して座ると、胸ポケットから紙切れを一枚取り出した。

「ほら、あとはお前がサインするだけだ」

それは、初めて見る婚姻届で、すでに彩斗さんの名前は書き込まれていた。

しかも、用意周到。

印鑑も準備してあって、このまま区役所に寄るらしい。

「字、間違えんなよ」

「間違えません!!」

私がゆっくりと一文字一文字書き込んでいくと、この名前を書くのも最後なんだな、と彩斗さんがつぶやいた。
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