貴方の愛に捕らわれて
明日から期末テストが始まる。
テストが終わるまでの1週間は、バイトはお休みだ。
だから当然、ここに歌いに来る事も出来なくなる。
今日はその事を伝えなきゃと、ぼんやり考えながら歌っていると、不意に猛さんの不機嫌な声が
「チッ……。何の用だ」
「毎晩、護衛を遠ざけて何をされてるのかと思えば。
こちらの方は?」
知らない男の声に驚いて振り返ると、そこにはモデルのような美形の長身の男の人が立っていた。
その人はまるで値踏みをするように、ジロジロと私を見た。
その不躾な視線に耐えられず俯くと
「下がっていろ」
猛さんが、ドスの利いた声で男の視線を遮るように、私の前に立ちはだかった。