貴方の愛に捕らわれて
もの言いたげに薄く開かれた桜色の唇。
その魅惑的な唇を貪りたい衝動に駆られ、逃がさないようにそっと頬に手を添える。
だが、香織が初めて龍二に会った時の事を思い出した俺は、ギリギリのどころでその衝動をねじ伏せた。
香織に怯えられたら立ち直れねぇ。
行き場を無くした欲情を、なけなしの理性で押し止めて無理やり額に口付けた。
この俺がデコチューってどうなんだよ………。
中坊みたいな俺の行動に、龍二や智也も驚愕の表情を浮かべている。
内心で舌打ちしつつ柔らかな頬から手を離して、真っ赤な顔で足元の覚束ない香織を抱き上げる。
大人しく腕の中に収まると、俺の肩に顔をうずめる香織。
香織の仕草に、先程の自分の選択が間違いでなかったと安堵する。
俺の愛しい小鳥は、不幸な生い立ちのせいで、心にとてつもなく大きな傷を負っている。
その傷を癒やしてやる為にも、慎重に焦らず少しずつ慣らして行かなければと決意を新たにした。