貴方の愛に捕らわれて
「もう大丈夫か?」
一番に聞かれたのは私の具合。
もどしたことを叱られると思い込んでいた私には、猛さんのその言葉が理解できなかった。
怯えて小刻みに震える私を、注意深く見つめる切れ長の瞳。
「香織。まだ気持ち悪いのか?やっぱり医者に見てもらうか」
『だ、大丈夫です。ごめんなさい…』
叱られるのが怖くて、ずっと伏せたままの私の顔に、猛さんの手が近づくのが、視界の端に見えた。
叩かれる!そう思った瞬間、身体がビクリと跳ねた。
けど、猛さんの手は私を叩く事はなく、怯える私の顎を捉えると強引に上を向かせ、視線を合わさせられた。
「何で謝る。香織は何も悪くないだろ」
私を見つめる切れ長の瞳には、怒りの色など何処にもなく、ただ心配と優しさだけが溢れていた。
『ど、どうして…怒らないの…』