貴方の愛に捕らわれて
「ちょっと!女の子同士で恋バナしてるんだから、邪魔しないでよ」
目尻を釣り上げ、腕を掴む章司さんに文句を言う由香里。
―――恋バナ
今まで、友達なんて一人も出来たことがなかったから、いつも教室の片隅でクラスの女の子達が、楽しそうにお喋りに興じているのを、ただぼんやりと眺めているだけだった。
小さな頃は一人ぼっちが寂しくて、あの和の中に入れてもらえたらどんなに楽しいだろうと、羨望の眼差しで見つめていた。
けど、どんなに望んでも、世の中には叶えられないことがあるということを、ほどなくして理解した。
私にとって自分以外の存在は、大人も子供も、教師や近所のおばさんも、みんなみんな私を傷つける怖い存在でしかなかった。
だからいつの間にか一人ぼっちでいることは、傷つけられることのない“安心”になっていて、“友達とのお喋り”に憧れていたなんて忘れていたのに。