貴方の愛に捕らわれて
ドアに手をかけた瞬間、中から楽しげに話す香織の声が聞こえてきた。
『好きな人はいるけど、龍二さんじゃないから』
「ええ!?マジで?じゃあさ、好きな人ってどんな人?」
『えっと…大人で、凄く大きくて、頼りがいがあって、包容力があって……思いやり深くて、とっても優しい人』
最後の方は恥ずかしさからか、尻窄みになる香織の言葉を聞いて、うねり狂っていた激しい怒りが凪いでいく。
「香織」
愛しい女の名前を呼べば、ゆっくりとこちらを振り向いた瞳が、驚きで零れんばかりに見開かれる。
『……猛…さん?』
上気した顔で瞳を潤ませ、上目遣いに見上げた香織は、かすれた声で俺の名を呼び、嬉しそうにぱああと顔を輝かせた。
たまんねぇ。あまりの可愛いさに、細い腰を捕らえて腕の中に収めれば、一瞬その身を強ばらせたが、直ぐに緊張を解いて俺の胸に身体を預けてくる。