貴方の愛に捕らわれて
軽く現実逃避しながらも、ひしひしと肌に感じる威圧感。
そんな筈ないのに、一気に部屋の空気が薄くなったような気がして、無意識に浅い呼吸を繰り返す私を、大好きな低音ボイスが呼ぶ。
「香織」
たった一言、それだけで安心感に包まれる。
隣りに座る猛さんを見上げれば、甘くとろけるような微笑みをくれ、正面に並んだ厳つい男達に視線を向けた。
その横顔には、今し方、私に向けられた甘さや優しさなんて欠片もなくて、威厳溢れる眼差しで男達を見渡す。
初めて見た厳しい横顔に見とれていると、龍二さんが居並ぶ男達の紹介を始めだしたので、慌てて視線を前に向けた。
一通り紹介が済むと、今まで黙っていた猛さんが、徐に口を開いた。
「嫁の香織だ。俺同様に頼む」
―――!!
はっと息を呑むような衝撃が、その場に広がった。