貴方の愛に捕らわれて
 
軽く現実逃避しながらも、ひしひしと肌に感じる威圧感。



そんな筈ないのに、一気に部屋の空気が薄くなったような気がして、無意識に浅い呼吸を繰り返す私を、大好きな低音ボイスが呼ぶ。



「香織」



たった一言、それだけで安心感に包まれる。



隣りに座る猛さんを見上げれば、甘くとろけるような微笑みをくれ、正面に並んだ厳つい男達に視線を向けた。



その横顔には、今し方、私に向けられた甘さや優しさなんて欠片もなくて、威厳溢れる眼差しで男達を見渡す。



初めて見た厳しい横顔に見とれていると、龍二さんが居並ぶ男達の紹介を始めだしたので、慌てて視線を前に向けた。



一通り紹介が済むと、今まで黙っていた猛さんが、徐に口を開いた。



「嫁の香織だ。俺同様に頼む」





―――!!




はっと息を呑むような衝撃が、その場に広がった。



 

< 345 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop