貴方の愛に捕らわれて
気づけば今日も1時間ほど歌っていた。
そろそろ帰らなければと振り向いた時、始めて人影に気がつき、飛び上がるほど驚いた。
5メートルほど向こうの防波堤に、大きな男の人が立っていた。
歌を聞かれた恥ずかしさと、知らない男の人に対する緊張でバクバクする心臓を抑え、足早にその場を立ち去った。
幸いな事に、男の人は、こちらに気づいていないのか、声をかけられることもなかった。
『びっくりしたぁ。いつから居たんだろ………』