貴方の愛に捕らわれて
だから、今日は何処かへ連れて行ってやると言えば、すげえ可愛い答えが返ってきた。
久し振りのお休みなんだから、お家でゆっくりしましょう。
自分の事より俺の体を心配する香織。確かにここん所バタバタしていて、ろくに休みも取れていなかったが、別に疲れを感じる程でもない。
疲れてなどいないから大丈夫だと言えば、自分の方が昨日疲れて寝てしまったくらいだから、今日はお家でゆっくりしたいと返された。
結局、外出はまた今度という事になり、俺は香織が煎れてくれた珈琲を味わいながら、リビングでゆったりと新聞を読んでいる。
足元のラグの上には香織がちょこんと座っていて、趣味の日本刺繍を刺している。
身辺調査でわかってはいたが、香織は祖母の影響で和裁やら日本刺繍がプロ並みの腕前だという。
今も弁当を包んでゆく布に、繊細な藤の花の刺繍を施している。素人目にもその凄さが分かる腕前だ。