貴方の愛に捕らわれて
 

時折、手を休めては俺の様子を伺い、幸せそうに微笑む香織。



こんな穏やかな時間も悪くない。



俺達は別段会話をするでもなく、ただ傍らに愛しい者の気配を感じながら、穏やかで満たされた極上の一時を楽しんだ。





三時を少し回ったころ、龍二がリビングに顔を出した。手には香織の好きなケーキ屋の箱。



お茶にしませんかと言う龍二に、パアッと顔を輝かせて、礼を言う香織。



洋服やアクセサリーなんかより、よほど嬉しそうに礼を言う姿に、思わず苦笑する。



しかし、夜までは休みとだと言ってある。なのに何の用かと訝しむと、来週から始まる香織の修学旅行の件で、打ち合わせがしたいという。



そういえば来週の事だというのに、俺が忙しくて、まだ香織との打ち合わせが出来てなかった。



そういうことなら、修学旅行のしおりを取って来ますと言って香織はやりかけの刺繍を片付けると、リビングを出て行った。



 
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