貴方の愛に捕らわれて
 

しおりを手にした香織が、珈琲とケーキを乗せたトレーを持った龍二と談笑しながら、リビングに戻ってきた。



香織と龍二の出会いは最悪で、その後、龍二がいくら気を使って話し掛けても、怯えてなかなか打ち解けられなかったのに、最近になって漸く龍二にも笑顔を見せるようになった。



出会った頃は、香織が龍二を好きになるんじゃないかと暗い気持ちにとらわれ、二人を合わせないよう嫉妬に駆られた行動もしたが、今では香織が龍二達と打ち解けてくれた事に、安堵すら覚える。



まあ、たまに妬けなくもないが。



暗い気持ちが無くなったのには、特別な切っ掛けがあった訳じゃない。強いて言うなら、香織の変化か。



出会った頃に比べ、格段に自分の気持ちを伝えて、甘えてくるようになった香織に、いつしか俺の心から暗い気持ちが薄れていった。



それに香織の中では、龍二達は俺の家族のような存在で、だから俺と同様に大切にしたいと思ってるのだと聞かされては、嫉妬のしようがない。



 

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