貴方の愛に捕らわれて
本来なら郷田組の姐となった香織を、独りきりで余所の島へ出すことなど、有り得ない事だ。
だが、今まで色んなもんを我慢してきて、これからも俺の所為で我慢し続けなきゃなんねえ香織には、せめて高校に通っている間ぐらいは人並みの事を経験させてやりたかった。
幸い香織の存在は、まだごく一部にしか知られていない。今ならまだいける。
郷田組姐の肩書きを背負わず自由にさせてやれるのは、間違いなくこれが最後の機会となるだろう。
その事実を知ったら、香織は今の生活を窮屈に思うのだろうか。
ニコニコと楽しそうに旅行の計画を語る香織を、暗い気持ちになりながら見つめた。
今夜の議題について龍二と話し込んでいると、ふすまの外から香織がおずおずと声をかけて来た。