貴方の愛に捕らわれて
 

「捨て猫の分際で大きな顔して、組の事に口出しするだなんて、本当に身の程知らずなんだよ。


いいかい、冴子様はお前なんかと違って、旦那様の遠縁にあたる武田組組長さんの姪ごさんで、お小さい時から旦那様の婚約者としてお育ちになった、素晴らしいお嬢様なんだよ」


“婚約者”藤野さんの言葉が胸を抉る。


「アナタが成人するまでの二年間は、ここに住むことを許してあげる。


だけど成人したらこの家からも、あの人の戸籍からも出て行ってもらいますから。


まあ、その前に飽きられないよう、精々頑張ることね」



二人の姿は、いつの間にかリビングから消えていた。



どれだけ長い時間そうしていたのだろう。気が付けばリビングの窓から差し込む日差は、西に傾いていた。



もう六月だというのに、指先は冷たく冷え切っていた。カタカタと小刻みに震える体を、両腕でぎゅっと抱きしめる。



 

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