貴方の愛に捕らわれて
 

私の肩を掴んだのは松野さんだった。



松野さんは、私を酷く驚かせたことを謝りつつも、注意深く私の様子をうかがっているようだ。



「昼も夜も食事をされていないですよね。どこか具合が悪いんじゃないですか?医者を呼びますか?」



『いいえ、大丈夫です。何だか旅行の疲れがどっと出ちゃったみたいで。


それに、おやつを食べたらご飯が入らなくなっちゃって。怒られますから、この事は猛さんに内緒にしておいて下さいね』



とっさに思いついた言い訳にしては上出来だ。しかし、食事をしたかどうかまで知られていることは予想外で、面食らってしまった。



食欲がないなら、先生に点滴をお願いしましょうかと言う松野さんに、今日はこのまま休んで、もし明日の朝になっても具合が良くならなければ、必ず病院に行く事を約束して、寝室にひきあげた。



 

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