貴方の愛に捕らわれて
だから私は、できる限り藤野さんとの接触を避け、帰宅すると直ぐに誰も入って来ない寝室に籠もった。
それでも完全に藤野さんと顔を合わさない訳じゃないから、たまに鉢合わせたりすると、お前なんか直ぐにでも飽きられてお払い箱だと言われたけど、全然平気だった。
だって毎朝目を覚ませば私は猛さんの腕の中にいて、愛されている、必要とされてるって全身で感じる事ができたから。
猛さんの言ったとおり、旅行から帰ったその日から猛さんは凄く忙しくて、帰宅するのはいつも深夜過ぎ。
だから一緒に食事する時間も、会話する時間も殆どなくなってしまった。
猛さんと過ごす時間が減った事は寂しかったけど、毎朝目を覚ました時に感じる幸福感に、私の気持ちが揺らぐことなんてなかった。
だけどそんな私の気持ちを、大きく揺さぶる一言を投げつけたのは、やはり藤野さんだった。