貴方の愛に捕らわれて
 

学校から帰ってきた私を呼び止めた藤野さんは、不気味なほど上機嫌だった。



「昨夜、旦那様がどなたとご一緒だったか知ってるかい」



昨日から猛さんは組関係の用事で、大阪方面に三日間の出張中だ。



その事は藤野さんも知っている筈なのに。ニヤニヤと笑いながら話しかけてくる藤野さんの意図が掴めずにいると、私の返事など最初から期待していなかったのか、一人で勝手に話しを続ける。



「旦那様は出張に、冴子様を同伴されたんだよ。やっぱり旦那様が伴侶として認めていらっしゃるのは、冴子様なんだねえ。


それが証拠に、組関係者の集まりにはお前じゃなく、冴子様を同伴されるんだから。


案外お前がお払い箱になる日も、近いんじゃないかい。今から出て行く準備でもしておいたらどうだい」



言いたいことだけ言うと、藤野さんは高らかな笑い声を残して去って行った。



私は聞かされた内容に、ただ呆然とその場に立ち尽くすばかりだった。



 

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