貴方の愛に捕らわれて
 

結局、フルーツサラダを二口ほど口にしただけで、フォークを置いて学校へ行く事にした。




学校に向かう車の中、静かな車中に携帯の着信音が鳴り響いた。



鞄の中から携帯を取り出せば、ディスプレイには「猛さん」の文字。



沈んでいた気持ちが嘘みたいに浮上する。慌てて出れば、鼓膜に響く低音ボイス。



「変わりはないか」



『…はい』



ついさっきまで不安で、聞きたいことが沢山あったのに、猛さんの声を聞いたら、そんな事はどうでも良くなった。



ただ、会いたい―――。そんな思いがこみ上げてきて、言葉が続かない。



携帯を耳に当て、じいっと猛さんの声に耳を澄ませれば、いつもどおりの心配性の猛さんに、ほっとするのと同時に、胸がいっぱいになる。



「昨夜からちゃんと食べてないようだが、どうした?


学校には連絡をしておいたから、このまま病院に行って見てもらってこい。


それで具合が悪ければ無理せず学校は休め」



 

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