貴方の愛に捕らわれて
何度か名前を呼ばれる声に、ぼんやりと顔を向ければ、いつの間にか運転席から降りていた松野さんが、後部ドアを開いて怪訝そうにこちらを伺っていた。
促されるまま車を降りると、松野さんに連れられて病院の玄関をくぐる。
待合室では待たされることなく、そのまま診察室に通された。
どうしましたと聞く医師に、夏バテみたいで食欲がないと答えると、貧血の薬と栄養剤を処方され、ついでに点滴を受けることになった。
病院のベットで点滴を受けながら、一人ぼんやりと真っ白な天井を見つめていたら、不意に孤独感がこみ上げてきて、涙が溢れてきた。
馬鹿だ私。二年経ったら猛さんから離れるなんて、そんなことできないよ。
猛さんの愛情は、私一人のものじゃないって、分かったつもりでいたけど、本当はちっとも分かってなかったんだ。
猛さんの腕の中に、私以外の誰かがいるなんて、そんなの嫌。嫌だよう……
猛さん、お願い……私だけを愛して。