貴方の愛に捕らわれて
なんでメールの画面が?そう思ったのは一瞬。
画面に表示された文字を見て、驚きの声が漏れそうになるのを何とか飲み込む。
そこに書かれていたのは「警察には何を聞かれても、足を踏み外したと答えて下さい」という、端的な指示のみ。
どうにか声を抑えられたのは、佐武さんがそんな文章を示しながらも、口に出す言葉が、着替えや身の回りの品のことばかりで、明らかに周りを気にした様子でコッソリ伝えてきたから。
直ぐに打ち込まれた文章を消し、『医者には目眩を起こして階段から落ちたと言いました』と入力して無言で佐武さん画面を見せる。
佐武さんは一瞬目を見張った後、今の爽やかな出で立ちにはおよそ似つかわしくない、何時も通り獰猛にニヤリと笑ったのを見て、自分の判断が間違ってなかったことに安堵した。
ホットしたの束の間、ドンドンと乱暴なノックの音と同時に、勢いよくドアが開けられた。