◇白黒恋争物語◆~運命の翼~
「そっか・・・。俺が自分を責めることで、棗を追い詰める形になっちゃうんだな・・。ごめん」
「もういいよ。謝らないで。怜汰のことずっと信じてるから」
「・・・ありがとう」
私の手をギュッと握ってくれる怜汰。
怜汰の優しさが手からも伝わってくる。
安心するな・・・。
すると・・・
「何だよ。昔のアルバムなんか見てたのかよ」
領汰が私の横に置いておいたアルバムを手に取る。
「懐かしいな・・・」
領汰はペラペラとアルバムをめくる。
「・・子供のときの棗のほうが断然素直でよかったな」
「それを言うなら領汰だってそうだよ。昔のほうが断然優しくってよかったし」
「まぁお互い様だな」
「何よ。勝手にまとめないでくれる~」
「ふん」
するとページをめくる領汰の手が止まった。
「あれ。これ何の写真だ?」
そう言って私と怜汰に写真を見せる。
「あれ。領汰と棗じゃん」
「・・・これ」
その写真には私と領汰が花の中で笑っている写真。
この間思い出したやつのだ・・・
領汰が風邪ひいて・・それで私が花を摘む・・・
「領汰・・・覚えてないの?この写真の話」
「・・全く覚えてねぇ。まぁそんだけくだらなかった思い出だろう」
「くだらない・・・」
「あぁ。だから覚えてねぇんだろう。きっと」
「・・・・」
「どうしたんだよ」
「・・・そうだよね」
「あ?」
「領汰が覚えてくれてるはずないよね。あの約束なんて・・」
「約束?なんだそれ」
「・・・いいよ。忘れてると思ってたし」
「・・なんだよ。そんな大切な思い出だったのかよ」
「・・そうよ!!私にとっては最後の領汰への希望だった!・・でも領汰が忘れてるんじゃもういいや。私だって怜汰の方が断然好きだし。もういいよ」
私は必死に涙を堪える。
声が震えてる・・・。
わかってはいたけど、本当に領汰が覚えてないなんて・・。
切なすぎて涙が・・・・出る・・。
「言い過ぎた・・・棗。俺本当は・・」
と領汰がいいかけたところで
お母さんが息を切らしながらドアを勢いよく開けて入ってきた。