ヴァンパイアヒューマン−桜−


背の高い男は震えるミーナの顔を大きな目でギョロギョロと見回した。


『こ、来ないで…』


ミーナは震えて動かない足を強引に動かそうとして、地面に尻餅をついてこけた。


男は不敵な笑みを浮かべながら、大きな爪でミーナに切りかかった。


ミーナは必死にその大きな避けたが、左腕にかすりケガをした。


『キキャー!!』


男はミーナに向かってまた勢い良く切りかかった。


ミーナはもうダメだと思い、目を閉じ歯を食いしばって死を覚悟した。


その瞬間、背の高い男がスゴイ悲鳴をあげた。


悲鳴を聞いたミーナが恐る恐る目を開けると、目の前には背の高い男が倒れたていた。


その倒れている男の心臓には、刃渡りの長い黒い剣が突き刺さっていた。


『はぁ、はぁ、ミーナ様…間に合って良かったです』


ミーナの耳にふと聞き覚えのある声が入ってきた。


ミーナが声の方を見ると、そこにはジャックが突っ立っていた。



< 12 / 574 >

この作品をシェア

pagetop