ヴァンパイアヒューマン−桜−


薄暗いロウソクが照らす地下牢の奥には、衰弱しきっているアカシア王が捕えられていた。


ミーナはアカシア王の元に歩み寄った。


『あなたが…あなたがアカシア王ですね?』


ミーナはアカシア王にそっと尋ねたが、アカシア王は顔をふせたまま何も答えなかった。


『アカシア王…あなたの息子のジンタはご存知ですよね?ジンタは一人でこの国をバゼルから取り戻そうと頑張っています。一人で…まだ子供なのに…必死に頑張って…。必ず、あたしたちがこのトライバスタンを取り戻しますから、安心してください。必ず、ジンタにもう一度幸せを…』


ミーナはそれだけを言い残し、また階段を駆け上がり地下牢を後にした。



< 270 / 574 >

この作品をシェア

pagetop