悪魔に飼われた天使
「失礼します。」
…ガチャ
ゆっくりとドアが開き、ワゴンを押した男が入ってきた。
それと同時に、部屋が美味しそうな香りでいっぱいになる。
「セトと申します。」
悪魔だということを忘れるほど柔らかく微笑み、頭を下げる。
さすが悪魔、恐ろしいほど妖艶に美しい。
ただ、王というだけあってかあの男の美しさには敵わぬな。
「お口に合うか分かりませんが。」
ベッドの近くのテーブルに、テキパキと料理を並べていく。
「悪いが結構だ。」
ハッキリと拒絶を示した女は、料理がある真逆を向く。