魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
グラースがティアラを守るようにして隣に寝転がると、オーディンがいつも手にしている杖で大地をこつんと叩いた。
すると一瞬淡い光が杖を中心に円状に広がり、隣に居たローズマリーが瞳を細めて笑った。
「懐かしいわね…今のは魔法だわ。あなた…魔法が使えるの?」
「ええまあ。私は元々この世界の住人ではありませんから。あ、今のは彼らには内緒ですよ、私の正体はコハク様しか知らないんです」
「コハクだけ?ますます何でも屋さんが何者なのか知りたくなったわ」
――大人は大人同士でマグカップにブランデーを注ぎ、一つの毛布で身体を包んで爆ぜる炎を見つめていると、リロイが帰ってきた。
何故かずぶ濡れで、表情も険しく、ローズマリーがタオルを手渡すと力なく火の傍に座り、眠ってしまったティアラを盗み見た。
「どうしてずぶ濡れなの?」
「ティアラ王女の肩に魔物が乗ったので止む無く泉に入りました。だから…」
「それにしては冴えない表情ですが?……さあ、身体が温まるからこれを飲みなさい」
ブランデー入りのマグカップを手渡すとそれを一気に呷って飲み干し、強いアルコールで胃が焼けるような感覚に少し咳き込んだ。
「ラスは…大丈夫でしょうか」
金の瞳の中で炎が踊り、真向かいに居たローズマリーとオーディンは顔を見合わせると…同時に笑ったのでリロイが首を傾げた。
「なん、ですか…?」
「あの王女様は大丈夫よ。とっても芯が強いし、コハクのためならどんなことでも乗り越えてやり遂げるわ。ぼんやりしているようでしっかりしてるのはあなたも知っているでしょ?」
「…ええ、そうですね。ラスは強くなりました。僕の助けなんか必要ないほどに…」
「それは違いますね。ラス王女はコハク様もあなたのことも手放したくはないのです。ラス王女が我が儘なのはあなたが1番よく知っているはず」
「そうでしょうか。ラスはまた以前のように僕のことを慕ってくれるでしょうか…」
「もちろんよ。コハクが生きているとわかったのだから、刺したことをちょっと恨まれる程度よ。根に持ったりしないわ」
リロイの頬につっと涙が伝った。
すると一瞬淡い光が杖を中心に円状に広がり、隣に居たローズマリーが瞳を細めて笑った。
「懐かしいわね…今のは魔法だわ。あなた…魔法が使えるの?」
「ええまあ。私は元々この世界の住人ではありませんから。あ、今のは彼らには内緒ですよ、私の正体はコハク様しか知らないんです」
「コハクだけ?ますます何でも屋さんが何者なのか知りたくなったわ」
――大人は大人同士でマグカップにブランデーを注ぎ、一つの毛布で身体を包んで爆ぜる炎を見つめていると、リロイが帰ってきた。
何故かずぶ濡れで、表情も険しく、ローズマリーがタオルを手渡すと力なく火の傍に座り、眠ってしまったティアラを盗み見た。
「どうしてずぶ濡れなの?」
「ティアラ王女の肩に魔物が乗ったので止む無く泉に入りました。だから…」
「それにしては冴えない表情ですが?……さあ、身体が温まるからこれを飲みなさい」
ブランデー入りのマグカップを手渡すとそれを一気に呷って飲み干し、強いアルコールで胃が焼けるような感覚に少し咳き込んだ。
「ラスは…大丈夫でしょうか」
金の瞳の中で炎が踊り、真向かいに居たローズマリーとオーディンは顔を見合わせると…同時に笑ったのでリロイが首を傾げた。
「なん、ですか…?」
「あの王女様は大丈夫よ。とっても芯が強いし、コハクのためならどんなことでも乗り越えてやり遂げるわ。ぼんやりしているようでしっかりしてるのはあなたも知っているでしょ?」
「…ええ、そうですね。ラスは強くなりました。僕の助けなんか必要ないほどに…」
「それは違いますね。ラス王女はコハク様もあなたのことも手放したくはないのです。ラス王女が我が儘なのはあなたが1番よく知っているはず」
「そうでしょうか。ラスはまた以前のように僕のことを慕ってくれるでしょうか…」
「もちろんよ。コハクが生きているとわかったのだから、刺したことをちょっと恨まれる程度よ。根に持ったりしないわ」
リロイの頬につっと涙が伝った。