魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「…眠れないのですか?」
寝静まった頃小さな声が聴こえ、女性陣を守るためにティアラの隣に座っていたリロイは小さく微笑み、首を振った。
「2年前もこうして朝まで起きていました。あの時は不思議と魔物が襲って来ませんでしたが…影が魔法を使っていたのかな」
伏し目がちに言うと、ティアラが怖ず怖ずと手を伸ばして膝に触れてきたので、その手を同じように怖ず怖ずと握り、炎を見つめた。
「さっきは…申し訳ありませんでした。僕もあなたの幸せを祈っています。結婚式にはぜひ招待して下さい」
「…ええ。ラスやローズマリーやグラースにも来てもらいたいわ。私…ラスと出会わなければ、友達と呼べる人も居なかったかもしれないから。ふふ、これでも私、人見知りなんですよ」
「あなたは繊細な人だ。凛としているし、とても綺麗だから近寄りがたいんでしょう。なんとなくわかります」
少し頬が赤くなったティアラが小さなくしゃみをしたので毛布を引き上げてやると手が触れ、とても冷たかったので、リロイは横になり、同じ毛布にくるまった。
「り、リロイっ?」
「あなたの身体を温めるだけです。へ、変な気持ちは抱きませんから安心して……ってできないですよね。さっきの僕はケダモノみたいだったから」
「…そんなことありません。じゃあ…あたたかい抱き枕だと思って…失礼します」
ぎゅうっと抱き着いてきたティアラの髪からは良い香りと、2年前以上にやわらかな身体の感触がダイレクトに伝わってきた。
…もうこの人は誰かのものになるのだ。
こんなことをしてはいけないとわかっているのだが、女王として王国を継いでしまえばおいそれと簡単に謁見することはできなくなる。
それに自分が出奔してしまえば身分違いはさらに甚だしくなり、ティアラはラス以上に遠い存在となってしまうだろう。
「あたたかい…」
「あなたが眠るまでこうしています。おやすみなさい、ティアラ」
「……眠りたくない…」
――小さく聴こえた声。
聴こえなかったふりをして瞳を閉じると、上目遣いで様子を窺っていたティアラも瞳を閉じて胸に頬を摺り寄せてきた。
こんな時間は、もう持つことはできない。
寝静まった頃小さな声が聴こえ、女性陣を守るためにティアラの隣に座っていたリロイは小さく微笑み、首を振った。
「2年前もこうして朝まで起きていました。あの時は不思議と魔物が襲って来ませんでしたが…影が魔法を使っていたのかな」
伏し目がちに言うと、ティアラが怖ず怖ずと手を伸ばして膝に触れてきたので、その手を同じように怖ず怖ずと握り、炎を見つめた。
「さっきは…申し訳ありませんでした。僕もあなたの幸せを祈っています。結婚式にはぜひ招待して下さい」
「…ええ。ラスやローズマリーやグラースにも来てもらいたいわ。私…ラスと出会わなければ、友達と呼べる人も居なかったかもしれないから。ふふ、これでも私、人見知りなんですよ」
「あなたは繊細な人だ。凛としているし、とても綺麗だから近寄りがたいんでしょう。なんとなくわかります」
少し頬が赤くなったティアラが小さなくしゃみをしたので毛布を引き上げてやると手が触れ、とても冷たかったので、リロイは横になり、同じ毛布にくるまった。
「り、リロイっ?」
「あなたの身体を温めるだけです。へ、変な気持ちは抱きませんから安心して……ってできないですよね。さっきの僕はケダモノみたいだったから」
「…そんなことありません。じゃあ…あたたかい抱き枕だと思って…失礼します」
ぎゅうっと抱き着いてきたティアラの髪からは良い香りと、2年前以上にやわらかな身体の感触がダイレクトに伝わってきた。
…もうこの人は誰かのものになるのだ。
こんなことをしてはいけないとわかっているのだが、女王として王国を継いでしまえばおいそれと簡単に謁見することはできなくなる。
それに自分が出奔してしまえば身分違いはさらに甚だしくなり、ティアラはラス以上に遠い存在となってしまうだろう。
「あたたかい…」
「あなたが眠るまでこうしています。おやすみなさい、ティアラ」
「……眠りたくない…」
――小さく聴こえた声。
聴こえなかったふりをして瞳を閉じると、上目遣いで様子を窺っていたティアラも瞳を閉じて胸に頬を摺り寄せてきた。
こんな時間は、もう持つことはできない。