魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスへの狂おしい想いは一瞬胸をずきんと痛ませたが、ティアラは平然を装って治療を続け、頬にも走る裂傷に掌を翳した。
「ふふ、あの子は鈍感だからあなたは苦労したでしょうね。それに影にあんな男が憑いてたら満足に告白もできないでしょうし。心中お察しするわ」
「苦労というか…ラスの傍に居れたら僕は幸せだったから。…だけど王国を出るつもりです。ラスと影が幸せを掴んだら…僕はラスの前から消えます。2年間ラスを苦しませたのは僕だから」
――リロイはどこまでも自身を責める。
悔いているのだろう、“魔王との約束”を振りかざし、ラスを手に入れようとしたことを。
ティアラは小さく微笑み、小さく頷いて先を促した。
「ラスはどんどん綺麗になっていきました。僕はそれを遠くから見ていることしかできなかった。僕はまたおかしくなりそうになって…苦しかったんです…」
「ラスが魔王に恋焦がれて綺麗になったのは認めますけど…あなただって強くなったしさらに頼りがいのある方になりましたよ。ラスだって魔王だって喜んでくれます。あまり自分を責めないで下さい」
心情を吐露している間に感情が高まってきたのか唇を噛み締めるリロイの肩に触れ、躊躇しながらそっと細い身体を抱きしめた。
びくりと動く身体をさらに力を込めて抱きしめ、言い訳をしながらかつて好きだった男を…いや、今でも好きな男を抱きしめた。
「あたたかいものに触っていると落ち着いてきます。今は私があたたかい抱き枕になってあげる」
「ティアラ…ありがとう。あなたにこんな弱い自分を見せるなんて…恥ずかしいけれど聴いてもらって楽になりました」
「もうすぐラスと魔王に会えますよ。魔王には嫌味を言われるでしょうが、ラスはきっとすぐにこうしてあなたに抱き着くと思うから魔王に見せつけてやってください」
「ふふふ、そうですね、ラスがそうしてくれたら…見せつけてやります」
「あと、あなたがゴールドストーン王国を出るのならば…ぜひうちへ来てください。白騎士団はうちの騎士団の憧れでもあるんですよ、一時でいいので指南役を引き受けてくれたら嬉しいわ」
「はい、考えておきますね」
顔を上げると…
唇が触れ合いそうになった。
「ふふ、あの子は鈍感だからあなたは苦労したでしょうね。それに影にあんな男が憑いてたら満足に告白もできないでしょうし。心中お察しするわ」
「苦労というか…ラスの傍に居れたら僕は幸せだったから。…だけど王国を出るつもりです。ラスと影が幸せを掴んだら…僕はラスの前から消えます。2年間ラスを苦しませたのは僕だから」
――リロイはどこまでも自身を責める。
悔いているのだろう、“魔王との約束”を振りかざし、ラスを手に入れようとしたことを。
ティアラは小さく微笑み、小さく頷いて先を促した。
「ラスはどんどん綺麗になっていきました。僕はそれを遠くから見ていることしかできなかった。僕はまたおかしくなりそうになって…苦しかったんです…」
「ラスが魔王に恋焦がれて綺麗になったのは認めますけど…あなただって強くなったしさらに頼りがいのある方になりましたよ。ラスだって魔王だって喜んでくれます。あまり自分を責めないで下さい」
心情を吐露している間に感情が高まってきたのか唇を噛み締めるリロイの肩に触れ、躊躇しながらそっと細い身体を抱きしめた。
びくりと動く身体をさらに力を込めて抱きしめ、言い訳をしながらかつて好きだった男を…いや、今でも好きな男を抱きしめた。
「あたたかいものに触っていると落ち着いてきます。今は私があたたかい抱き枕になってあげる」
「ティアラ…ありがとう。あなたにこんな弱い自分を見せるなんて…恥ずかしいけれど聴いてもらって楽になりました」
「もうすぐラスと魔王に会えますよ。魔王には嫌味を言われるでしょうが、ラスはきっとすぐにこうしてあなたに抱き着くと思うから魔王に見せつけてやってください」
「ふふふ、そうですね、ラスがそうしてくれたら…見せつけてやります」
「あと、あなたがゴールドストーン王国を出るのならば…ぜひうちへ来てください。白騎士団はうちの騎士団の憧れでもあるんですよ、一時でいいので指南役を引き受けてくれたら嬉しいわ」
「はい、考えておきますね」
顔を上げると…
唇が触れ合いそうになった。