魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
あと数センチで唇が触れ合ってしまうほどの距離で互いに硬直してしまい、呼吸さえやめて黒と金の瞳が交じり合った。
…これはあの時の二の舞だ。
あの時と同じように、後悔してしまう。
ティアラの結婚を祝福しようと決めたのだ。
また、ラスを諦めてすぐにティアラに心を寄せるなんて…男として最低だ。
――ティアラが息を詰めてじっと見つめてくる。
何を求められているかわかっているけれど、求められるままに与えてしまえば…ティアラの結婚は破談となり、白騎士の名も汚してしまう。
…ラスは祝福してくれるだろうが、今の自分にはつらいだけ。
「…治療、ありがとうございました」
「……いえ、いいんです。あまり無茶をしないで下さいね」
「無茶をしないとこの山は乗り越えれませんよ。あなたは王女なのだから、馬車で大人しくしていて下さいね」
「ふふ、わかりました」
そっと離れて馬車のドアを開けて外に出ると…オーディンがしたり顔で何度も頷きながらリロイの肩をぽんぽんと叩いた。
「な、なんですか?」
「いいんですいいんです、何も言わなくてもわかっていますから」
「ちょ、ちょっと…何を勘違いしているんですか?僕とティアラは…」
「いいですってば、私たちはあなたを全力で応援しますからね」
…全くもって意味不明だ。
明らかに何かを誤解している感じだが、にやつく3人に何を説明しても無駄のような気がしたのでひらりと愛馬に乗ると楽しそうにしているグラースに声をかけた。
「あなたは僕の味方ですよね?」
「私は女の味方だ。ラスやティアラを泣かせたらこの剣でたたっ切ってやる」
「あら、私も女よ?私のことは守ってくれないの?」
「では仕方ないのであなたは私が守ってあげましょう」
ローズマリーが抗議の声を上げるとオーディンがそれに応え、急速に親密になる2人に純情一直線のリロイの頬が赤くなった。
「何でも屋さんが守ってくれるのなら安心ね。で、どうしてグリーンリバーに向かってるわけ?それを聴いてなかったんだけど」
「ふふふ、秘密です」
どこまでも、ミステリアス。
…これはあの時の二の舞だ。
あの時と同じように、後悔してしまう。
ティアラの結婚を祝福しようと決めたのだ。
また、ラスを諦めてすぐにティアラに心を寄せるなんて…男として最低だ。
――ティアラが息を詰めてじっと見つめてくる。
何を求められているかわかっているけれど、求められるままに与えてしまえば…ティアラの結婚は破談となり、白騎士の名も汚してしまう。
…ラスは祝福してくれるだろうが、今の自分にはつらいだけ。
「…治療、ありがとうございました」
「……いえ、いいんです。あまり無茶をしないで下さいね」
「無茶をしないとこの山は乗り越えれませんよ。あなたは王女なのだから、馬車で大人しくしていて下さいね」
「ふふ、わかりました」
そっと離れて馬車のドアを開けて外に出ると…オーディンがしたり顔で何度も頷きながらリロイの肩をぽんぽんと叩いた。
「な、なんですか?」
「いいんですいいんです、何も言わなくてもわかっていますから」
「ちょ、ちょっと…何を勘違いしているんですか?僕とティアラは…」
「いいですってば、私たちはあなたを全力で応援しますからね」
…全くもって意味不明だ。
明らかに何かを誤解している感じだが、にやつく3人に何を説明しても無駄のような気がしたのでひらりと愛馬に乗ると楽しそうにしているグラースに声をかけた。
「あなたは僕の味方ですよね?」
「私は女の味方だ。ラスやティアラを泣かせたらこの剣でたたっ切ってやる」
「あら、私も女よ?私のことは守ってくれないの?」
「では仕方ないのであなたは私が守ってあげましょう」
ローズマリーが抗議の声を上げるとオーディンがそれに応え、急速に親密になる2人に純情一直線のリロイの頬が赤くなった。
「何でも屋さんが守ってくれるのなら安心ね。で、どうしてグリーンリバーに向かってるわけ?それを聴いてなかったんだけど」
「ふふふ、秘密です」
どこまでも、ミステリアス。