魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
山を下りきるとようやく一安心し、ティアラが窓から顔を出した。
「これからどこへ行くのですか?」
「イエローストーン王国に少し寄った後グリーンリバーに行きます。寄り道したいと言ったのは僕なのであなたたちは先にグリーンリバーへ行っても…」
「いえ、私も行きます。あなたのことだからどうやったら凍った人々を救えるのか考えたいんでしょう?」
「僕の考えなんてお見通しなんですね。じゃあ一緒にお願いします」
――また楽しそうに話しこんでいるオーディンとローズマリーに馬を寄せると、彼らの豊富な知識を借りるために馬上で頭を下げた。
「知恵を貸して下さい。あの氷漬けの国をどうしたら救えるのか…」
「ちょっと待って下さい。あの国を再建することを目標にしているのはラス王女でしょう?だったらラス王女がコハク様におねだりすれば一発で解決しますよ」
「…そうですね、でも見るだけでいいんです。寄り道させて下さい」
イエローストーン王国に近づくにつれ、どんどん気温が下がってきた。
道中の間オーディンが、かの王国を氷漬けにした元凶の水晶は恐らく強大な魔力を放出した後砕け散ったのだろうと言って、自嘲気味に笑ったのが印象的だった。
「ゴールドストーン王国はカイ陛下の意向で水晶には頼りませんでした。民衆は聖石を敬い、勇者のカイ陛下を信じて今も幸せに暮らしています。イエローストーン王国に何が起こったのか…」
「より強大な国に、と願ったのかもしれません。力を持つ者はさらに欲張りになり、さらに力を求める。私の予想ではまだかの国に聖石はあるのでは、と思っていましたが…」
強い北風が吹き、はるか前方の彼方には不気味な空模様。
…あの場所でラスを絶望へと陥れ、後悔し続けてきたが…
「着きましたよ。…入り口からも見えますね。凍った人々が…」
馬から降りて中へ入ろうとしたのだが、それはオーディンとローズマリーに止められた。
「何もかもがとても脆くなっているので入らないで下さい。ここから祈りましょう」
ティアラも馬車から降りて、皆で胸に手をあてて永遠の眠りについた人々に鎮魂の祈りを捧げた。
安らかに天に向かうように、と――
「これからどこへ行くのですか?」
「イエローストーン王国に少し寄った後グリーンリバーに行きます。寄り道したいと言ったのは僕なのであなたたちは先にグリーンリバーへ行っても…」
「いえ、私も行きます。あなたのことだからどうやったら凍った人々を救えるのか考えたいんでしょう?」
「僕の考えなんてお見通しなんですね。じゃあ一緒にお願いします」
――また楽しそうに話しこんでいるオーディンとローズマリーに馬を寄せると、彼らの豊富な知識を借りるために馬上で頭を下げた。
「知恵を貸して下さい。あの氷漬けの国をどうしたら救えるのか…」
「ちょっと待って下さい。あの国を再建することを目標にしているのはラス王女でしょう?だったらラス王女がコハク様におねだりすれば一発で解決しますよ」
「…そうですね、でも見るだけでいいんです。寄り道させて下さい」
イエローストーン王国に近づくにつれ、どんどん気温が下がってきた。
道中の間オーディンが、かの王国を氷漬けにした元凶の水晶は恐らく強大な魔力を放出した後砕け散ったのだろうと言って、自嘲気味に笑ったのが印象的だった。
「ゴールドストーン王国はカイ陛下の意向で水晶には頼りませんでした。民衆は聖石を敬い、勇者のカイ陛下を信じて今も幸せに暮らしています。イエローストーン王国に何が起こったのか…」
「より強大な国に、と願ったのかもしれません。力を持つ者はさらに欲張りになり、さらに力を求める。私の予想ではまだかの国に聖石はあるのでは、と思っていましたが…」
強い北風が吹き、はるか前方の彼方には不気味な空模様。
…あの場所でラスを絶望へと陥れ、後悔し続けてきたが…
「着きましたよ。…入り口からも見えますね。凍った人々が…」
馬から降りて中へ入ろうとしたのだが、それはオーディンとローズマリーに止められた。
「何もかもがとても脆くなっているので入らないで下さい。ここから祈りましょう」
ティアラも馬車から降りて、皆で胸に手をあてて永遠の眠りについた人々に鎮魂の祈りを捧げた。
安らかに天に向かうように、と――