魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
聖石の間まで、皆の足音が重なる。
ラスはずっとカイと手を握り、吐き気がしそうなほどの緊張を感じながら扉の前に立った。
「じゃあみんな…時間がかかるかもしれないからここには居なくていいよ」
「や、ここに居るよ。ラス…僕たちのことは気にしないで。…君をここまで追い詰めたのは僕だから…ここに居させてほしいんだ」
「でも…」
『チビ、ほっとけって。行くぞ』
皆と視線を合わせ、皆が力強く頷いてくれたので、ラスも皆から勇気をもらって重たい観音開きの扉を押した。
正方形の細長い台に置かれているゴールドストーンが見えた。
心細くて孤独に耐えられなくなった時ここに来て、この聖石に励ましてもらった日々――
もうここに通い詰めた日々もこれで終わるはず。
『あーむかつく。感じるぞ、俺の力があの忌々しい剣に内包してるのがびんびん伝わってくるぜ』
「コー…待って、まだ心の準備が…」
――あれから誰にも触れさせずに壁に飾られている魔法剣。
この剣で命を絶とうと思ったことも何度もあるけれど、コハクが生きているかもしれない可能性を捨てきれずに手を出すことができなかった。
ラスは魔法剣の前に立つと手を伸ばして壁飾りから剣を外し、その重みで足元に落下して床に突き刺さった。
『チビ!』
「だ、大丈夫…。こんな重たい剣を平気で持ってたんだからリロイってすごいんだね」
『すごかねえよ、それ位俺だって余裕だっつーの』
誰かを誉めると絶対むきになって言い返すコハクも相変わらずで、少し緊張が解けると力を込めて床から剣を抜いて引きずるようにしてコハクの前に立った。
「コー…私…これに触りたくないよ…。これを刺したらまたコーに会えなくなるんじゃ…」
『チビが俺を愛してくれてるなら俺はまた前みたくチビの傍にずっと居れる。大丈夫だ、落ち着けって』
――ラスの手はがたがた震え、あの悪夢がフラッシュバックし、ぼたぼたと涙が零れた。
…どんなに心細い想いをさせていたことか…
必死になって剣を持ち上げようとしているが、身体が…心がそれを拒否する。
ラス自身との戦いになった。
ラスはずっとカイと手を握り、吐き気がしそうなほどの緊張を感じながら扉の前に立った。
「じゃあみんな…時間がかかるかもしれないからここには居なくていいよ」
「や、ここに居るよ。ラス…僕たちのことは気にしないで。…君をここまで追い詰めたのは僕だから…ここに居させてほしいんだ」
「でも…」
『チビ、ほっとけって。行くぞ』
皆と視線を合わせ、皆が力強く頷いてくれたので、ラスも皆から勇気をもらって重たい観音開きの扉を押した。
正方形の細長い台に置かれているゴールドストーンが見えた。
心細くて孤独に耐えられなくなった時ここに来て、この聖石に励ましてもらった日々――
もうここに通い詰めた日々もこれで終わるはず。
『あーむかつく。感じるぞ、俺の力があの忌々しい剣に内包してるのがびんびん伝わってくるぜ』
「コー…待って、まだ心の準備が…」
――あれから誰にも触れさせずに壁に飾られている魔法剣。
この剣で命を絶とうと思ったことも何度もあるけれど、コハクが生きているかもしれない可能性を捨てきれずに手を出すことができなかった。
ラスは魔法剣の前に立つと手を伸ばして壁飾りから剣を外し、その重みで足元に落下して床に突き刺さった。
『チビ!』
「だ、大丈夫…。こんな重たい剣を平気で持ってたんだからリロイってすごいんだね」
『すごかねえよ、それ位俺だって余裕だっつーの』
誰かを誉めると絶対むきになって言い返すコハクも相変わらずで、少し緊張が解けると力を込めて床から剣を抜いて引きずるようにしてコハクの前に立った。
「コー…私…これに触りたくないよ…。これを刺したらまたコーに会えなくなるんじゃ…」
『チビが俺を愛してくれてるなら俺はまた前みたくチビの傍にずっと居れる。大丈夫だ、落ち着けって』
――ラスの手はがたがた震え、あの悪夢がフラッシュバックし、ぼたぼたと涙が零れた。
…どんなに心細い想いをさせていたことか…
必死になって剣を持ち上げようとしているが、身体が…心がそれを拒否する。
ラス自身との戦いになった。