魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
10分…30分…1時間…3時間…
ラスは1歩も動くことができず、コハクはラスに言葉をかけることもなかった。
何を言ったとしてもラスが決めること。
ラスのタイミングでなければ、トラウマに打ち勝つことはできない。
…確かにあの瞬間はラスは眠っていたはずだ。
すやすやと気持ちよさそうに寝ていて、そんなラスの肩にキスをして、そしてバルコニーに出て思い返したりして油断しまくっていたのは自分。
その瞬間は見ていないはずだが、この2年間で心がダメージを受けて、その瞬間に立ち会っていたような光景をラスに見せたのかもしれない。
「コー…、コー…」
「ん、ここに居る。チビが決めていい。1つ言っとくけど、消えやしねえよ。約束しただろ、俺はチビの傍に永遠にずっと居るんだ。俺を信じろ」
「……私…またコーに抱っこしてもらいたい…」
「ん、脚が萎えるほど抱っこしてやるし。俺はチビの馬だからいつでも乗っていいんだぜ。…馬かー…あーコーフンしてきたー」
「??」
またよくわからないことを言われて首を傾げると、コハクは床に座ってラスも座るように促した。
「正直な話またこうしてチビに会えるとは思ってなかった。あの時絶対死んだと思ったからさ」
「!やめてよコー!私はずっとまた会えると思ってたんだから!ずっとだよ!ずっとコーのお嫁さんになるって信じ続けてきたんだから!」
必死の形相で膝をつきながら目の前までにじり寄ってくると、膝の上に魔法剣を乗せて視線を落とした。
「まだ話してないことが沢山あるの。でもこれを…コーに刺さなかったら…また会えなくなるんだよね…?コーは歳を取っておばさんになった私なんか絶対やだよね?」
「チビはできるって。ま、熟女のチビも絶対イイと思うけど…俺はそんなに待ちたくねえ。チビ…また沢山抱っこしてやる。どこにでも連れて行ってやる。チビのために俺は生きるんだ」
――覚悟を決めた。
持ち上げるだけでも精一杯の魔法剣を渾身の思いで持ち上げ、瞳を閉じたコハクの心臓にあてた。
「コー…行くよ…」
「ああ。チビ、頑張れ」
瞳を逸らしてはいけない。
ラスはコハクの胸に、剣を刺し込んだ。
ラスは1歩も動くことができず、コハクはラスに言葉をかけることもなかった。
何を言ったとしてもラスが決めること。
ラスのタイミングでなければ、トラウマに打ち勝つことはできない。
…確かにあの瞬間はラスは眠っていたはずだ。
すやすやと気持ちよさそうに寝ていて、そんなラスの肩にキスをして、そしてバルコニーに出て思い返したりして油断しまくっていたのは自分。
その瞬間は見ていないはずだが、この2年間で心がダメージを受けて、その瞬間に立ち会っていたような光景をラスに見せたのかもしれない。
「コー…、コー…」
「ん、ここに居る。チビが決めていい。1つ言っとくけど、消えやしねえよ。約束しただろ、俺はチビの傍に永遠にずっと居るんだ。俺を信じろ」
「……私…またコーに抱っこしてもらいたい…」
「ん、脚が萎えるほど抱っこしてやるし。俺はチビの馬だからいつでも乗っていいんだぜ。…馬かー…あーコーフンしてきたー」
「??」
またよくわからないことを言われて首を傾げると、コハクは床に座ってラスも座るように促した。
「正直な話またこうしてチビに会えるとは思ってなかった。あの時絶対死んだと思ったからさ」
「!やめてよコー!私はずっとまた会えると思ってたんだから!ずっとだよ!ずっとコーのお嫁さんになるって信じ続けてきたんだから!」
必死の形相で膝をつきながら目の前までにじり寄ってくると、膝の上に魔法剣を乗せて視線を落とした。
「まだ話してないことが沢山あるの。でもこれを…コーに刺さなかったら…また会えなくなるんだよね…?コーは歳を取っておばさんになった私なんか絶対やだよね?」
「チビはできるって。ま、熟女のチビも絶対イイと思うけど…俺はそんなに待ちたくねえ。チビ…また沢山抱っこしてやる。どこにでも連れて行ってやる。チビのために俺は生きるんだ」
――覚悟を決めた。
持ち上げるだけでも精一杯の魔法剣を渾身の思いで持ち上げ、瞳を閉じたコハクの心臓にあてた。
「コー…行くよ…」
「ああ。チビ、頑張れ」
瞳を逸らしてはいけない。
ラスはコハクの胸に、剣を刺し込んだ。