魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクの心臓の部分に魔法剣の半分ほどが埋まった。
やりたくもないことをやらなければいけない状況で、静かに瞳を閉じているコハクの顔を瞬きもせず見つめ、手を離そうとした時――
「コー…?」
拍動が剣を伝い、ラスの手に響いた。
驚いて目を見張っていると、コハクの身体が淡白く光り、コハクの身体にどんどん光が吸い寄せられているのがわかった。
だが魔法剣の柄を握っているのは自分の手。
はたから見れば自分がコハクを刺しているように見えるだろうし、またあの悪夢がフラッシュバックして、ラスの唇がぶるぶると震えた。
「やだ…コー、やだ…死んじゃやだ…!」
「誰が死ぬって?」
――がらんと音がして、床に魔法剣が転がった。
そしてコハクの身体が点滅するように大きく光り、ラスが両手で目を庇うと…その手を静かに握る大きな手の感触がした。
「…コー?」
「何度も呼ぶなって。チビ…帰ってきたぞ、チビの傍に」
真っ黒な男が自分にしか見せない微笑みを浮かべ、大きな両の掌で頬を包み込んでくれた。
その手から伝わるぬくもり…弾力…自分を愛してくれているという実感…
「本当に…コー…?また透明になったりしない…?」
「疑うなって。ほらチビ…手ぇ貸せよ」
心臓の上に手を導かれ、掌にどくどくと血が駆け巡る熱さを感じた。
くらくらと眩暈がして、コハクに思いきり抱き着くと今度は耳で心臓の音を確かめた。
帰って来てくれたのだ。
死の淵から。
「コー!もう消えないで…!もう私に黙ってどこかに行ったりしないで!」
――突然感情が爆発したラスが大声を上げて泣きじゃくり、コハクはラスを2年間も独りぼっちにさせてしまったことを深く後悔しながら万感の思いでラスを抱きしめた。
「チビ…俺は不死身なんだぜ。忘れたのか?」
「だって…2年間も居なかったでしょ!?コー、お願い、もう…独りに、しな、いで…」
「…チビ?」
安心したのか不安故か…
ラスが腕の中で気絶してしまい、コハクはラスを抱きしめた。
「2度もお前に救われた。ラス…」
キスを贈る。
やりたくもないことをやらなければいけない状況で、静かに瞳を閉じているコハクの顔を瞬きもせず見つめ、手を離そうとした時――
「コー…?」
拍動が剣を伝い、ラスの手に響いた。
驚いて目を見張っていると、コハクの身体が淡白く光り、コハクの身体にどんどん光が吸い寄せられているのがわかった。
だが魔法剣の柄を握っているのは自分の手。
はたから見れば自分がコハクを刺しているように見えるだろうし、またあの悪夢がフラッシュバックして、ラスの唇がぶるぶると震えた。
「やだ…コー、やだ…死んじゃやだ…!」
「誰が死ぬって?」
――がらんと音がして、床に魔法剣が転がった。
そしてコハクの身体が点滅するように大きく光り、ラスが両手で目を庇うと…その手を静かに握る大きな手の感触がした。
「…コー?」
「何度も呼ぶなって。チビ…帰ってきたぞ、チビの傍に」
真っ黒な男が自分にしか見せない微笑みを浮かべ、大きな両の掌で頬を包み込んでくれた。
その手から伝わるぬくもり…弾力…自分を愛してくれているという実感…
「本当に…コー…?また透明になったりしない…?」
「疑うなって。ほらチビ…手ぇ貸せよ」
心臓の上に手を導かれ、掌にどくどくと血が駆け巡る熱さを感じた。
くらくらと眩暈がして、コハクに思いきり抱き着くと今度は耳で心臓の音を確かめた。
帰って来てくれたのだ。
死の淵から。
「コー!もう消えないで…!もう私に黙ってどこかに行ったりしないで!」
――突然感情が爆発したラスが大声を上げて泣きじゃくり、コハクはラスを2年間も独りぼっちにさせてしまったことを深く後悔しながら万感の思いでラスを抱きしめた。
「チビ…俺は不死身なんだぜ。忘れたのか?」
「だって…2年間も居なかったでしょ!?コー、お願い、もう…独りに、しな、いで…」
「…チビ?」
安心したのか不安故か…
ラスが腕の中で気絶してしまい、コハクはラスを抱きしめた。
「2度もお前に救われた。ラス…」
キスを贈る。