魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
我が儘が爆発し、リロイの胸をぽかぽか叩いて駄々をこねるラスをはじめて見た一同は目を丸くして息を詰めた。
「ラス…」
「絶対手伝ってもらうんだもん!ね、コーも説得して!一緒にやりたいの!お願い!」
「一緒にやりたいとか言うんじゃねえよ、小僧が誤解すんだろが」
「?コーお願い!ねえリロイ、お願い!王国から出てかないで!リロイには白騎士でいてほしいの!夢だったでしょ!?」
――ああ、そうだ。
近衛兵よりも常に王族の近くに居る白騎士になればラスの傍にずっと居れると知ってから、ずっとずっと白騎士になることを望んできたのだ。
そしていつかラスをお嫁さんにすることができたら、と。
常にそれを夢見て頑張ってきたけれど…最後まで魔王に勝つことはできなかったのだから、いさぎよく諦めなければならない。
リロイが何も言えずにいると、それまでずっと黙っていたコハクがラスを膝からさらって抱っこすると立ち上がり、顎で立つように指図してきた。
「ちょっとこっち来い」
…ラスはコハクの首に抱き着いて顔を見せようとしない。
きっと泣いているのだろうと思うと胸が痛くなり、無言で立ち上がるとティアラが一瞬そっと腕に触れてきた。
「ラスを笑わせて下さい。それがあなたの使命でしょう?」
「…ティアラ…」
魔王はすでにさっさとバルコニーの端に移動し、待ち構えている。
あの時刺したこと…
それを謝らなければならないし、いつも笑顔に溢れているラスを泣かせた責任もある。
「おい」
「…僕に手伝えって言いたいんだろ?」
「…別に止めやしねえよ。チビは不死になるし、お前は老いて死んでゆく。今1番いい時に別れるのが俺も最善だと思う」
「!コー、やめて!悲しいこと言わないで!」
ラスがさらに力をこめてぎゅっと抱き着き、さらさらと揺れる金の髪に触れたい衝動を堪えながらコハクの背中側に移動するとラスの顔を覗き込んだ。
…瞳は真っ赤になり、目が合うと一気に涙が溢れてきた。
「リロイ…もう…私の傍に居たくない?」
「…ううん。ラス…僕に傍に居て欲しい?」
コハクの瞳が光った。
「ラス…」
「絶対手伝ってもらうんだもん!ね、コーも説得して!一緒にやりたいの!お願い!」
「一緒にやりたいとか言うんじゃねえよ、小僧が誤解すんだろが」
「?コーお願い!ねえリロイ、お願い!王国から出てかないで!リロイには白騎士でいてほしいの!夢だったでしょ!?」
――ああ、そうだ。
近衛兵よりも常に王族の近くに居る白騎士になればラスの傍にずっと居れると知ってから、ずっとずっと白騎士になることを望んできたのだ。
そしていつかラスをお嫁さんにすることができたら、と。
常にそれを夢見て頑張ってきたけれど…最後まで魔王に勝つことはできなかったのだから、いさぎよく諦めなければならない。
リロイが何も言えずにいると、それまでずっと黙っていたコハクがラスを膝からさらって抱っこすると立ち上がり、顎で立つように指図してきた。
「ちょっとこっち来い」
…ラスはコハクの首に抱き着いて顔を見せようとしない。
きっと泣いているのだろうと思うと胸が痛くなり、無言で立ち上がるとティアラが一瞬そっと腕に触れてきた。
「ラスを笑わせて下さい。それがあなたの使命でしょう?」
「…ティアラ…」
魔王はすでにさっさとバルコニーの端に移動し、待ち構えている。
あの時刺したこと…
それを謝らなければならないし、いつも笑顔に溢れているラスを泣かせた責任もある。
「おい」
「…僕に手伝えって言いたいんだろ?」
「…別に止めやしねえよ。チビは不死になるし、お前は老いて死んでゆく。今1番いい時に別れるのが俺も最善だと思う」
「!コー、やめて!悲しいこと言わないで!」
ラスがさらに力をこめてぎゅっと抱き着き、さらさらと揺れる金の髪に触れたい衝動を堪えながらコハクの背中側に移動するとラスの顔を覗き込んだ。
…瞳は真っ赤になり、目が合うと一気に涙が溢れてきた。
「リロイ…もう…私の傍に居たくない?」
「…ううん。ラス…僕に傍に居て欲しい?」
コハクの瞳が光った。