魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「コハク様、私も協力しますよ」
ラスを抱っこしたコハクがテーブルに戻って来るとオーディンが口を開き、隻眼を緩めてラスに微笑んだ。
「ったりめえだろ。その前に俺はカイに挨拶しなきゃいけねえし、ちょっと席外すからお前はほっつき歩かずここに残ってろよ」
「かしこまりました」
「コー、行こ!」
とりあえずリロイの了承を得て機嫌の戻ったラスがコハクの腕をぐいぐい引っ張って自室へと向かうと、残ったティアラたちは皆で一斉に息をついた。
「…で、どうなりました?」
「再建に力を貸すことにしました。…みんなはどうするんですか?」
「私はコハク様に直々にお願いされましたのでもちろん協力しますよ。ローズマリーはいかがですか?あなたの知識は必要だと思いますが」
「何でも屋さんが居れば私なんて必要ないんじゃない?でもそうねえ、面白そうだから協力しようかしら。ティアラは?」
「私の結婚式はまだ当分先ですから母は了承してくれると思います。嬉しいわ、もう少し長くみんなと一緒に居られるのね」
ふわっと笑ったティアラに瞳を細めたリロイは紅茶に移った自分自身に自嘲気味な笑みを浮かべると一気に飲み干した。
――そして自室へと戻ったラスはクローゼットを開けて中からあるものを取り出して満面の笑みでコハクに差し出した。
「これ着てね!真っ黒は駄目だよ」
「えー!?これ白じゃん!俺白なんか着たくねえし」
「お願いコー!コーのために用意してたんだよ。これ着てこの赤いネクタイ締めてお父様に“お嬢さんをお嫁さんにください”って言ってね!」
ラスが用意していたのは真っ白な長袖のシャツと真っ赤なネクタイで、自分のために用意してくれていたのだと聞いた魔王は嬉しさを堪えながらなるべく怒ったような口調でシャツを受け取った。
「仕方ねえなあ、じゃあカイにとっちめられた後はちゃんと俺を慰めてくれよな」
「うん、わかった、ぎゅうってしてあげる」
約束を取りつけてすぐ機嫌の戻った魔王はその場で真っ黒なシャツを脱いで真っ白なシャツを着ると赤いネクタイを締めてラスを抱っこした。
「さ、行くぞ」
ラスをお嫁さんにするために。
ラスを抱っこしたコハクがテーブルに戻って来るとオーディンが口を開き、隻眼を緩めてラスに微笑んだ。
「ったりめえだろ。その前に俺はカイに挨拶しなきゃいけねえし、ちょっと席外すからお前はほっつき歩かずここに残ってろよ」
「かしこまりました」
「コー、行こ!」
とりあえずリロイの了承を得て機嫌の戻ったラスがコハクの腕をぐいぐい引っ張って自室へと向かうと、残ったティアラたちは皆で一斉に息をついた。
「…で、どうなりました?」
「再建に力を貸すことにしました。…みんなはどうするんですか?」
「私はコハク様に直々にお願いされましたのでもちろん協力しますよ。ローズマリーはいかがですか?あなたの知識は必要だと思いますが」
「何でも屋さんが居れば私なんて必要ないんじゃない?でもそうねえ、面白そうだから協力しようかしら。ティアラは?」
「私の結婚式はまだ当分先ですから母は了承してくれると思います。嬉しいわ、もう少し長くみんなと一緒に居られるのね」
ふわっと笑ったティアラに瞳を細めたリロイは紅茶に移った自分自身に自嘲気味な笑みを浮かべると一気に飲み干した。
――そして自室へと戻ったラスはクローゼットを開けて中からあるものを取り出して満面の笑みでコハクに差し出した。
「これ着てね!真っ黒は駄目だよ」
「えー!?これ白じゃん!俺白なんか着たくねえし」
「お願いコー!コーのために用意してたんだよ。これ着てこの赤いネクタイ締めてお父様に“お嬢さんをお嫁さんにください”って言ってね!」
ラスが用意していたのは真っ白な長袖のシャツと真っ赤なネクタイで、自分のために用意してくれていたのだと聞いた魔王は嬉しさを堪えながらなるべく怒ったような口調でシャツを受け取った。
「仕方ねえなあ、じゃあカイにとっちめられた後はちゃんと俺を慰めてくれよな」
「うん、わかった、ぎゅうってしてあげる」
約束を取りつけてすぐ機嫌の戻った魔王はその場で真っ黒なシャツを脱いで真っ白なシャツを着ると赤いネクタイを締めてラスを抱っこした。
「さ、行くぞ」
ラスをお嫁さんにするために。