魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
“脚が萎えるまで抱っこする”
ラスの自立を決して許さないコハクは以前のようにラスを歩かせずに常に抱っこして歩き回り、最初はメイドたちは眉をひそめていたが…2年間全く笑うことのなかったラスに弾けるような笑顔が戻ってきたことに頬を緩めた。
「コー、喧嘩しちゃ駄目だよ。わかってる?」
「努力するけどさあ…チビも俺をちゃんと慰めるんだぞ。わかってる?」
「うん、わかってる!」
手を添えたコハクの硬い肩の感触にきゅんとしながら玉座の間へと移動すると、2人で1度大きく深呼吸をして見つめ合った。
「こんな緊張するのグリーンリバーでチビを抱いた時以来なんだけど」
「お父様は優しいから大丈夫だよコー。頑張って!」
ラスに励まされて奮起したコハクが片手で重たい扉を押すと、まるで待ち構えていたかのようにカイが玉座で脚を組み、微笑んでいた。
その隣にはもちろん王妃のソフィーが座っているのだが…コハクを嫌い、顔を見ようともしない。
そう、元々コハクは魔王としてこの世界を暗黒へと貶めようとしたのだから。
――もちろんコハクの真意を知るはずもなく、皆がそう今も信じているからなのだが、ラスはコハクを信じて疑っていないし、抱っこされたままカイに手を振ると、カイも小さく手を振り返した。
「脚が萎えてそれ以上細くなってしまうよ」
「お父様!あのね、あのね…コー、下ろしてっ。あのねっ」
うまく言葉がまとまらずにラスが頑張っていると、コハクは腕からラスを下ろして腰に手をあてると偉そうな態度でカイに笑いかけた。
「どうだ、復活してやったぞ。いやだろ」
「ああ、いやだね。しかも私のプリンセスがお前を復活させたんだろう?だから私は止めることができなかったよ」
「だって俺とチビは愛し合ってるからさ。…てかその“私のプリンセス”ってのやめろ。チビは俺のだからな」
コハクと手を繋いでにこにこしているラスは本当に嬉しそうで、カイは頬杖をつくとラスを呼び寄せた。
「お父様の膝においで」
「うん!」
「あっ、こら!チビ!」
あっという間に手を離されるとカイの膝に収まるラス。
魔王、ご立腹。
ラスの自立を決して許さないコハクは以前のようにラスを歩かせずに常に抱っこして歩き回り、最初はメイドたちは眉をひそめていたが…2年間全く笑うことのなかったラスに弾けるような笑顔が戻ってきたことに頬を緩めた。
「コー、喧嘩しちゃ駄目だよ。わかってる?」
「努力するけどさあ…チビも俺をちゃんと慰めるんだぞ。わかってる?」
「うん、わかってる!」
手を添えたコハクの硬い肩の感触にきゅんとしながら玉座の間へと移動すると、2人で1度大きく深呼吸をして見つめ合った。
「こんな緊張するのグリーンリバーでチビを抱いた時以来なんだけど」
「お父様は優しいから大丈夫だよコー。頑張って!」
ラスに励まされて奮起したコハクが片手で重たい扉を押すと、まるで待ち構えていたかのようにカイが玉座で脚を組み、微笑んでいた。
その隣にはもちろん王妃のソフィーが座っているのだが…コハクを嫌い、顔を見ようともしない。
そう、元々コハクは魔王としてこの世界を暗黒へと貶めようとしたのだから。
――もちろんコハクの真意を知るはずもなく、皆がそう今も信じているからなのだが、ラスはコハクを信じて疑っていないし、抱っこされたままカイに手を振ると、カイも小さく手を振り返した。
「脚が萎えてそれ以上細くなってしまうよ」
「お父様!あのね、あのね…コー、下ろしてっ。あのねっ」
うまく言葉がまとまらずにラスが頑張っていると、コハクは腕からラスを下ろして腰に手をあてると偉そうな態度でカイに笑いかけた。
「どうだ、復活してやったぞ。いやだろ」
「ああ、いやだね。しかも私のプリンセスがお前を復活させたんだろう?だから私は止めることができなかったよ」
「だって俺とチビは愛し合ってるからさ。…てかその“私のプリンセス”ってのやめろ。チビは俺のだからな」
コハクと手を繋いでにこにこしているラスは本当に嬉しそうで、カイは頬杖をつくとラスを呼び寄せた。
「お父様の膝においで」
「うん!」
「あっ、こら!チビ!」
あっという間に手を離されるとカイの膝に収まるラス。
魔王、ご立腹。