魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスがカイの膝に座ってにこにこしながらこちらを見ている。
元々誰かに頭を下げるという行為が大の苦手な魔王は、腰に手をあてたまましばらく黙ってカイと見つめ合っていたが…
カイの許しを得ないとラスと結婚できないという事実からは逃れられないので、仕方なくポケットから片手を出して両手を後ろに回すと…頭を下げた。
「チビを…俺の嫁にしたいからくれ」
「なんだって?声が小さくて聴こえなかった」
…聴こえているはずなのに敢えてもう1度聴いてくるカイをぶん殴りたかったが、カイはラスの父親だ。
かつては刃を交え、半分は自分の願いだったとは言え、自分を倒した勇者だ。
ラスにとっては自慢の父親で、もう1度言うのは本当にいやだったのだが…ラスの頬がぷくっと膨れはじめたので、今度ははっきりと正確に言った。
「ラスを俺の嫁さんにください!」
「断る」
――即答。
えっ、と声を上げたのは膝の上のラスで、カイは満面の笑みでラスの金の髪を撫でると言った。
「断る。お前は絶対浮気するだろうし、ラスの大嫌いな雷が絶えず落ちる魔王城なんかに住まわせるわけにはいかない」
「ち、違うよお父様!コーは絶対浮気なんかしないし、コーと一緒に住むのはグリーンリバーなの!お父様…どうして駄目なの?コーのお嫁さんになりたいの!どうして!?」
うるうると瞳が潤み、舌打ちしたコハクの元へと膝から降りて駆け寄り、正面から思いきり抱き着いた。
「な、言ったろ?こいつは俺との結婚なんか絶対許さねえってさ」
「…お父様…コーは悪い人だと今でも思ってる?」
ラスの声が震え、カイは一瞬躊躇したが力強く頷いた。
「魔王は私が倒したんだよ。今は大人しくしているがいずれまた…」
「そんなことない!じゃあコーが悪い人じゃないっていうのを証明すればいいんだよね?じゃあ…イエローストーン王国を完璧に再建したら結婚してもいい?コーのお嫁さんになってもいい?!」
…“そんなことできるはずない”という声が聴こえた気がした。
だがラスの自信は揺るがない。
「今年中に再建してみせるから!ね、コー!」
…無理難題。
元々誰かに頭を下げるという行為が大の苦手な魔王は、腰に手をあてたまましばらく黙ってカイと見つめ合っていたが…
カイの許しを得ないとラスと結婚できないという事実からは逃れられないので、仕方なくポケットから片手を出して両手を後ろに回すと…頭を下げた。
「チビを…俺の嫁にしたいからくれ」
「なんだって?声が小さくて聴こえなかった」
…聴こえているはずなのに敢えてもう1度聴いてくるカイをぶん殴りたかったが、カイはラスの父親だ。
かつては刃を交え、半分は自分の願いだったとは言え、自分を倒した勇者だ。
ラスにとっては自慢の父親で、もう1度言うのは本当にいやだったのだが…ラスの頬がぷくっと膨れはじめたので、今度ははっきりと正確に言った。
「ラスを俺の嫁さんにください!」
「断る」
――即答。
えっ、と声を上げたのは膝の上のラスで、カイは満面の笑みでラスの金の髪を撫でると言った。
「断る。お前は絶対浮気するだろうし、ラスの大嫌いな雷が絶えず落ちる魔王城なんかに住まわせるわけにはいかない」
「ち、違うよお父様!コーは絶対浮気なんかしないし、コーと一緒に住むのはグリーンリバーなの!お父様…どうして駄目なの?コーのお嫁さんになりたいの!どうして!?」
うるうると瞳が潤み、舌打ちしたコハクの元へと膝から降りて駆け寄り、正面から思いきり抱き着いた。
「な、言ったろ?こいつは俺との結婚なんか絶対許さねえってさ」
「…お父様…コーは悪い人だと今でも思ってる?」
ラスの声が震え、カイは一瞬躊躇したが力強く頷いた。
「魔王は私が倒したんだよ。今は大人しくしているがいずれまた…」
「そんなことない!じゃあコーが悪い人じゃないっていうのを証明すればいいんだよね?じゃあ…イエローストーン王国を完璧に再建したら結婚してもいい?コーのお嫁さんになってもいい?!」
…“そんなことできるはずない”という声が聴こえた気がした。
だがラスの自信は揺るがない。
「今年中に再建してみせるから!ね、コー!」
…無理難題。