魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「でもお父様の意地悪。コーを助けに行きたいって私が言った時は止めなかったのに」
コハクに抱っこされながら城外へと出て円形の噴水の前にあるベンチに座ると、コハクは鼻を鳴らしてラスの髪を人差し指にくるくると絡めた。
「そりゃまあこんな可愛い娘のお願いを断れる親なんて居ねえよ。あーっちきしょ、カイの奴!むかつく!」
「コーも女の子が生まれたら難しいお願いされても断らない?」
少しネクタイを緩めた姿を気に入ったラスは何度も軽くネクタイを引っ張り、コハクの胸にもたれかかりながら問うと、コハクはこの上なくにやついて妄想を膨らませた。
「そりゃもちろん。“大人になってもパパと一緒にお風呂に入るの”って言われて、“俺はチビと入りたいからやだ”って言って、“やだ!パパとお風呂に入るのは私だもん”って言われてさあ、“じゃあいっそのこと3人で入っちまうか!”みたいな!……イイ!チビに超似た女の子でさあ、どっちがチビなのかわかんなくなって、そんで…」
「コー、鼻息がうるさい。じゃあ私は男の子が生まれたらずーっと一緒にお風呂に入るの。でね、身体を洗いっこするの。男の子だからきっと力が強いんだろうね」
「な、なに!?チビとずーっと一緒に風呂に入るのは俺だけ!身体の洗いっこなんてさせません!しちゃ駄目!絶対!」
「どうして?親子なんだからいいでしょ?」
「親子でも駄目!俺が毎日洗ってやるし!ありとあらゆる場所を!……ふふふふ」
妄想だけでお腹一杯な魔王が不気味に笑い出し、もう慣れっこになってしまったラスが魔王の赤い瞳を見つめながらダメ出しをした。
「王国の再建…できるでしょ?できなかったらコーとは…」
「できるって。チビを嫁さんにするにはそれ位の覚悟はまあしてたし。でも残念ながらチビの出番はないぜ。俺がぜーんぶやっちまうからな」
「駄目だよ私も手伝うもんっ」
「だめー」
茶化されてむきになって胸を叩くと、いきなり両脇を抱えられて“高い高い”をするように持ち上げられた。
「コー?」
「ほんと綺麗になった。絶対カイの奴に勝ってみせるから俺の方を応援しろよ!な、チビ!」
魔王、必死。
コハクに抱っこされながら城外へと出て円形の噴水の前にあるベンチに座ると、コハクは鼻を鳴らしてラスの髪を人差し指にくるくると絡めた。
「そりゃまあこんな可愛い娘のお願いを断れる親なんて居ねえよ。あーっちきしょ、カイの奴!むかつく!」
「コーも女の子が生まれたら難しいお願いされても断らない?」
少しネクタイを緩めた姿を気に入ったラスは何度も軽くネクタイを引っ張り、コハクの胸にもたれかかりながら問うと、コハクはこの上なくにやついて妄想を膨らませた。
「そりゃもちろん。“大人になってもパパと一緒にお風呂に入るの”って言われて、“俺はチビと入りたいからやだ”って言って、“やだ!パパとお風呂に入るのは私だもん”って言われてさあ、“じゃあいっそのこと3人で入っちまうか!”みたいな!……イイ!チビに超似た女の子でさあ、どっちがチビなのかわかんなくなって、そんで…」
「コー、鼻息がうるさい。じゃあ私は男の子が生まれたらずーっと一緒にお風呂に入るの。でね、身体を洗いっこするの。男の子だからきっと力が強いんだろうね」
「な、なに!?チビとずーっと一緒に風呂に入るのは俺だけ!身体の洗いっこなんてさせません!しちゃ駄目!絶対!」
「どうして?親子なんだからいいでしょ?」
「親子でも駄目!俺が毎日洗ってやるし!ありとあらゆる場所を!……ふふふふ」
妄想だけでお腹一杯な魔王が不気味に笑い出し、もう慣れっこになってしまったラスが魔王の赤い瞳を見つめながらダメ出しをした。
「王国の再建…できるでしょ?できなかったらコーとは…」
「できるって。チビを嫁さんにするにはそれ位の覚悟はまあしてたし。でも残念ながらチビの出番はないぜ。俺がぜーんぶやっちまうからな」
「駄目だよ私も手伝うもんっ」
「だめー」
茶化されてむきになって胸を叩くと、いきなり両脇を抱えられて“高い高い”をするように持ち上げられた。
「コー?」
「ほんと綺麗になった。絶対カイの奴に勝ってみせるから俺の方を応援しろよ!な、チビ!」
魔王、必死。