魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスが一生懸命グラースたちに説明をしていた時、コハクはぷらぷらと庭を歩きながら…にやついていた。
2年間眠っていたのだから、朝目が覚めたらいきなり超美人になったラスに会って驚いた、という印象がまだ拭い切れない。
この2年間の話をするといつも瞳をうるうるさせて泣きそうになるラスが愛しくて愛しくて…
あの時手放しかけたようやく見つけたものをまた取り戻すことができて、しかも熱い一夜まで交わすことができて、浮かれまくっていた。
「おっと、こうして浮かれてたらまた小僧にやられちまう」
…正直に言って、リロイから刺された時は最期の力を振り絞って道添えに…とも考えた。
だがそれをラスが喜ぶだろうか、と考えるとできなくて、そうしなくて良かったと今は思っている。
「あいつも2年反省しまくっただろ。チビに手を出したら殺してたけどな」
「僕はそんな卑怯なことはしない」
また噴水前のベンチに座っているとリロイから声をかけられ、男同士2人でベンチに座る羽目になってコハクの口がへの字になった。
「なんだよ話しかけんなよ。つか隣に座るんじゃねえよ」
「……お前と話さなきゃいけないとずっと思ってた。…聴いてくれ」
――ラスの“勇者様の理想像”はカイとリロイだ。
瞳の色は違うが金の髪で…それだけが理由ではないが、ラスがリロイを慕うのでいつもやきもきしていたのを思い出す。
…いや、今でもなのだが…。
「なんだよ早く言えよ。俺は早くチビんとこに戻りたいんだからさ」
「…刺してすまなかった。僕を…許してほしい」
ちらっと横目で見ると、リロイは前のめりになって俯き、拳を震わせていた。
自分自身がその行為を1番許せない、という思いがよく伝わってくる。
なので無言でリロイの胸ぐらを掴んで無理矢理顔を上げさせると、驚くリロイの左頬を拳で思いきり殴りつけた。
「つ…っ!」
「いてぇだろ。俺はもっと痛かったんだからな」
「…お前より痛かったのはラスだ。僕がラスを傷つけたんだ」
「違うな、俺が油断したからチビを2年も傷つけたんだよ、ばーか!」
男2人、拳で殴り合い。
2年間眠っていたのだから、朝目が覚めたらいきなり超美人になったラスに会って驚いた、という印象がまだ拭い切れない。
この2年間の話をするといつも瞳をうるうるさせて泣きそうになるラスが愛しくて愛しくて…
あの時手放しかけたようやく見つけたものをまた取り戻すことができて、しかも熱い一夜まで交わすことができて、浮かれまくっていた。
「おっと、こうして浮かれてたらまた小僧にやられちまう」
…正直に言って、リロイから刺された時は最期の力を振り絞って道添えに…とも考えた。
だがそれをラスが喜ぶだろうか、と考えるとできなくて、そうしなくて良かったと今は思っている。
「あいつも2年反省しまくっただろ。チビに手を出したら殺してたけどな」
「僕はそんな卑怯なことはしない」
また噴水前のベンチに座っているとリロイから声をかけられ、男同士2人でベンチに座る羽目になってコハクの口がへの字になった。
「なんだよ話しかけんなよ。つか隣に座るんじゃねえよ」
「……お前と話さなきゃいけないとずっと思ってた。…聴いてくれ」
――ラスの“勇者様の理想像”はカイとリロイだ。
瞳の色は違うが金の髪で…それだけが理由ではないが、ラスがリロイを慕うのでいつもやきもきしていたのを思い出す。
…いや、今でもなのだが…。
「なんだよ早く言えよ。俺は早くチビんとこに戻りたいんだからさ」
「…刺してすまなかった。僕を…許してほしい」
ちらっと横目で見ると、リロイは前のめりになって俯き、拳を震わせていた。
自分自身がその行為を1番許せない、という思いがよく伝わってくる。
なので無言でリロイの胸ぐらを掴んで無理矢理顔を上げさせると、驚くリロイの左頬を拳で思いきり殴りつけた。
「つ…っ!」
「いてぇだろ。俺はもっと痛かったんだからな」
「…お前より痛かったのはラスだ。僕がラスを傷つけたんだ」
「違うな、俺が油断したからチビを2年も傷つけたんだよ、ばーか!」
男2人、拳で殴り合い。