魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスにとっては大冒険譚をグラースとローズマリーに一生懸命語っていた時――
「チ、ビ…」
「!コー!?どうしたのっ?どうして怪我してるのっ!?」
コハクがよろめきながら部屋に入ってきて、倒れるようにベッドに沈んだ。
右頬は腫れて唇も切れているし、ダメージを受けたコハクの姿をはじめて見たラスが動揺して駆け寄ると…
魔王、密かににやり。
「どうしようっ、お師匠さん、どうしたら…」
「手当てしてあげればいいんじゃない?はい、救急箱」
救急セットを手渡されたラスが中身をひっくり返して消毒液を捜していると、グラースがそんなラスの肩を叩いて励ました。
「ひとりで頑張れ」
「う、うん、わかった!」
ベッドに倒れ込みながらもますますにやついたコハクの表情を見てしまったグラースとローズマリーは部屋から出ると…同時にため息をついた。
「魔王の顔…見たか?」
「ばっちり見たわよ。あれ…いわゆる仮病よね?」
「怪我をしているのは確かだがあの程度ならすぐに治すはず。あいつ…ラスに触ってほしいから怪我したんじゃないか?」
ひどいことを言っているが…当たっている。
現に不器用なラスから治療を受けることに成功した魔王はこれ見よがしに顔をしかめたり呻き声を上げたりしてラスの気を引くことに成功していて、ラスはおろおろしながら消毒液をたっぷり吸いこませたガーゼを頬にあてた。
「いでっ!」
「が、我慢してコー!ごめんね痛いよね、こんなことしたことないから…」
ラスにものすごく心配されてうっかりコーフンしそうになった魔王は、切れた唇の端をちょいちょいと指すとラスの手をぐいっと引いた。
「コー?」
「チビにぺろぺろしてもらった方が早く治るかも」
「ほんと?うん、わかった。沁みたらごめんね?」
――ラスの顔が近付いて来てぺろんと唇の端を舐められて…
魔王、昇天寸前。
「どう?治ってる感じする?」
「するする!高速でお願いします!」
「うん、わかった!」
頬や唇の端など怪我した部分をぺろぺろと舐めて治そうとするラスに、にこにこ。
「チ、ビ…」
「!コー!?どうしたのっ?どうして怪我してるのっ!?」
コハクがよろめきながら部屋に入ってきて、倒れるようにベッドに沈んだ。
右頬は腫れて唇も切れているし、ダメージを受けたコハクの姿をはじめて見たラスが動揺して駆け寄ると…
魔王、密かににやり。
「どうしようっ、お師匠さん、どうしたら…」
「手当てしてあげればいいんじゃない?はい、救急箱」
救急セットを手渡されたラスが中身をひっくり返して消毒液を捜していると、グラースがそんなラスの肩を叩いて励ました。
「ひとりで頑張れ」
「う、うん、わかった!」
ベッドに倒れ込みながらもますますにやついたコハクの表情を見てしまったグラースとローズマリーは部屋から出ると…同時にため息をついた。
「魔王の顔…見たか?」
「ばっちり見たわよ。あれ…いわゆる仮病よね?」
「怪我をしているのは確かだがあの程度ならすぐに治すはず。あいつ…ラスに触ってほしいから怪我したんじゃないか?」
ひどいことを言っているが…当たっている。
現に不器用なラスから治療を受けることに成功した魔王はこれ見よがしに顔をしかめたり呻き声を上げたりしてラスの気を引くことに成功していて、ラスはおろおろしながら消毒液をたっぷり吸いこませたガーゼを頬にあてた。
「いでっ!」
「が、我慢してコー!ごめんね痛いよね、こんなことしたことないから…」
ラスにものすごく心配されてうっかりコーフンしそうになった魔王は、切れた唇の端をちょいちょいと指すとラスの手をぐいっと引いた。
「コー?」
「チビにぺろぺろしてもらった方が早く治るかも」
「ほんと?うん、わかった。沁みたらごめんね?」
――ラスの顔が近付いて来てぺろんと唇の端を舐められて…
魔王、昇天寸前。
「どう?治ってる感じする?」
「するする!高速でお願いします!」
「うん、わかった!」
頬や唇の端など怪我した部分をぺろぺろと舐めて治そうとするラスに、にこにこ。