魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクとオーディンからわくわくさ加減が半端ない瞳で見つめられて一気に頬が熱くなったリロイは、しどろもどろになりながらまたウォッカをラッパ飲みした。
「おいおい、飲み過ぎじゃねえか?ぶっ倒れても介抱なんかしねえからな」
「…ここでの話は…無礼講だな?」
「ああ。あっちはあっちでやらかしてるんだろうから、こっちでやったって問題ねえだろ」
――慎重に言葉を選ばなければ、ティアラの心象に関わる。
だがリロイとしてもあの一夜はあまり記憶になく、ただ覚えていることもあって、灯りは暖炉の炎だけの中、5分程考えてようやく口を開いた。
「……可愛かった」
「へぇええ!俺もボインのボインにあやかりてえ!」
色ぼけ炸裂の魔王の台詞は普段のリロイなら食ってかかって止めるところだが、あの時のティアラの肌の感触がまだ手に残っているような気がして掌を見つめた。
「ら、ラスだって…その…すごく…その……」
「あー、そうだろ!?チビもさあ、胸とか腰とか………やっぱやーめた!もったいねえから教えねえ!」
「コハク様…そこまで喋っておいて言わないのは拷問ですよ」
オーディンがコハクの隣に移って来て、珍しく悪乗りしたリロイが身を乗り出すと、魔王は天井を見上げて思い出し笑いを浮かべながら息をついた。
「俺はチビと幸せになる。お前にゃできなかったから返してもらうからな」
「…お前にしかラスは幸せにできない。僕は結婚式まで見守って、この国を出る。それまでは協力する」
「コハク様は恐ろしいほどにこき使いますよ。あまり安請け合いをしない方がいいのでは」
オーディンが茶々を入れると、コハクはそれを否定せずにテーブルから脚を下ろしてリロイに向かって身を乗り出し、手を差し伸べた。
「チビを諦めたお前は俺の敵じゃねえ。けどお前からチビを触るのは禁止!チューなんかもっての他だからな!」
「わかってる。お前こそティアラをやらしい目で見たりするな。彼女は…結婚を控えてるんだ。約束してくれ」
リロイとコハクが無言で握手を交わした。
男同士が分かり合った瞬間だった。
「おいおい、飲み過ぎじゃねえか?ぶっ倒れても介抱なんかしねえからな」
「…ここでの話は…無礼講だな?」
「ああ。あっちはあっちでやらかしてるんだろうから、こっちでやったって問題ねえだろ」
――慎重に言葉を選ばなければ、ティアラの心象に関わる。
だがリロイとしてもあの一夜はあまり記憶になく、ただ覚えていることもあって、灯りは暖炉の炎だけの中、5分程考えてようやく口を開いた。
「……可愛かった」
「へぇええ!俺もボインのボインにあやかりてえ!」
色ぼけ炸裂の魔王の台詞は普段のリロイなら食ってかかって止めるところだが、あの時のティアラの肌の感触がまだ手に残っているような気がして掌を見つめた。
「ら、ラスだって…その…すごく…その……」
「あー、そうだろ!?チビもさあ、胸とか腰とか………やっぱやーめた!もったいねえから教えねえ!」
「コハク様…そこまで喋っておいて言わないのは拷問ですよ」
オーディンがコハクの隣に移って来て、珍しく悪乗りしたリロイが身を乗り出すと、魔王は天井を見上げて思い出し笑いを浮かべながら息をついた。
「俺はチビと幸せになる。お前にゃできなかったから返してもらうからな」
「…お前にしかラスは幸せにできない。僕は結婚式まで見守って、この国を出る。それまでは協力する」
「コハク様は恐ろしいほどにこき使いますよ。あまり安請け合いをしない方がいいのでは」
オーディンが茶々を入れると、コハクはそれを否定せずにテーブルから脚を下ろしてリロイに向かって身を乗り出し、手を差し伸べた。
「チビを諦めたお前は俺の敵じゃねえ。けどお前からチビを触るのは禁止!チューなんかもっての他だからな!」
「わかってる。お前こそティアラをやらしい目で見たりするな。彼女は…結婚を控えてるんだ。約束してくれ」
リロイとコハクが無言で握手を交わした。
男同士が分かり合った瞬間だった。