魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
かちゃん、と何か音がして目を覚ますと、ラスが窓際に立ち、口の中にスプーンを突っ込んでいた。


「チビ?もう起きてんのか、早いな」


「お腹空いたからこれ舐めてたの。はい、コーも舐めて」


「舐める?」


窓際には2年前にオーディンから貰った大きな透明の壺が置いてあり、その底に少しだけ黄金色の蜂蜜が入っていた。

2年前は蓋の辺りまで沢山入っていたのだが、2年間毎日舐め続けた結果、ラスの胸は大激変したのだ。


――蜂蜜が零れないようにそろりそろりとベッドサイドまで来るとスプーンを口元に持ってきたので、それをそっと押し返すとラスの首が傾いた。


「食べないの?」


「それ好きなんだろ?チビが食べればいいじゃん。残り少ないだろ?」


「うんっ、じゃあ…」


スプーンを口の中に突っ込むとみるみる幸せそうな表情に変わり、コハクはラスの首に腕を回して引き寄せ、唇を奪った。


「ん、ん…」


「美味いな」


口の中がからからになるほどに舌を絡め合い、白のネグリジェ姿のラスが身体から力が抜けて倒れ込んでくると布団の中に引きずり込んだ。


「よっし、エネルギーチャージ完了!今日は検証だけだけどうろちょろすんじゃねえぞチビ」


「うん…。ねえコー…もっとして?」


…とろんとした瞳でおねだりしてきたラスに大コーフンの魔王は頭から布団を被ってラスの胸元のリボンに手をかけた。


「エネルギー、放出!」


「きゃー!」


「ラス、朝食の準備ができたって。起きてる?」


ドアの外からリロイの声が聴こえて慌ててラスが起き上がると、コハクは頬杖をつきながら舌打ちした。


「ちっ、あいつ相変わらずタイミングが良い奴だぜ。やっぱ1度おもっきしボコろっかな」


「コー、ドレス」


ラスが当たり前のように着替えを要求すると、コハクがにこっと笑い、かつての時のようにラスの影に手を突っ込み、真っ白なショートラインのドレスを出した。


「わあっ、コー、なんか懐かしいね!」


「だろ?じゃあチビ!お、お、俺が着替えさせてやるし!」


魔王、どもりまくり。
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