魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ふくらはぎまでの短い丈のドレスを着ていたラスが鞍に乗ると真っ白で細い太股がむき出しになり、後ろに乗った魔王が鼻息を荒げた。


「ち、チビの脚は凶器だな」


「凶器?踏んでほしいの?」


「!ふ、踏んでくれ!」


ヘンタイ炸裂の魔王がコーフンしてラスの腰を抱くと、ドラちゃんが誰もが震え上がるようなどすの利いた低い声で牽制してきた。


『この色ぼけが…俺のベイビィちゃんに触るな』


「チビに卵を生ませようとするお前の方がヘンタイだろが。お前はお前に見合うおっきな蜥蜴のお化けとつがいになっていちゃいちゃしてろ」


『ふざけるな。俺はベイビィちゃんに卵を生ませて幸せな家庭を…』


「ああ?チビにガキを生んでもらうのは俺だっつーの!」


…なんとも低レベルな言い争いを繰り広げる中、ラスは手でドレスを押さえながら一気に急上昇して見えてきた地平線に歓声を上げた。


「すごーい!ライナー山脈よりも高いよ、コー!」


「ドラゴンだったら山越えなんかひとっ飛びだ。見えてきたぞー」


――上空からもかちかちに凍り付いたイエローストーン王国がわかった。

元々寒冷地ではあるが、改めて水晶の力を脅威に感じ、腰に回っていたコハクの手をきゅっと握ると、指を絡めてくれて安心感を与えてくれた。


「あれをどうにかして早く結婚式挙げようぜ。んでラスボスをぎゃふんと言わせてやる」


「ラスボス?私のボス?」


「まあそうとも言えるけど。ラスボスってのはチビの父ちゃんだよ。ぐうの音も出ねえようにしてやる!」


「コハク様、やっぱりまだ水晶はあの国のどこかにあるようですよ。魔力を感じます」


ローズマリーが落ちないように腰を支えてやっていたオーディンが強風に声がさらわれないように叫ぶと、コハクも少し長い黒髪をなびかせながら大声で返した。


「それは俺が見つけるからお前たちは街を見て回れ!」


「わかりました!」


2頭が緩やかに旋回しながら下降し、城の空中庭園に降り立つと寒さでラスの身体が震え、ラスの影から真っ白な毛皮のコートを引っ張り出すと甲斐甲斐しく着せてやった。


「さ、行くか」


元凶を見つけに――
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