魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
城下町の中心に大きく走るクレバスのような亀裂のすぐ近くを恐る恐る歩いていたリロイたちは、足元にふいにできた大きな影に驚いて頭上を見上げた。
「う、わ…」
「水晶のパワーが…。ああなるほど、そういうことですか」
それはドラちゃんの巨体の影で、あっという間に頭上を飛び去って行くと北の方へと飛んで行く。
オーディンが1人納得して頷き、一同はくまなく街を歩き回りながら、様々な格好や表情で凍り付いている人々を痛ましげに見ていた。
「何をやってるんだか…」
「ラスが乗っているのが見えた。好きにさせてやろう」
途中グラースがまるごと凍り付いた一軒家のドアを開けようとしたのだが押しても引いても動かず、逆に手がしもやけになりそうになってノブから手を離した。
「完全に凍り付いてる」
「で、影はどこへ行ったんですか?」
リロイが問うと、オーディンはローズマリーが滑って転ばないように手を繋ぎながらくまなくあちこちを眺めていた。
「水晶の森です。あそこはコハク様が捨てられ、そして生まれ変わった場所。コハク様は意味のない行動は取りませんから放っておいても大丈夫ですよ」
「わかりました。…あっ、ティアラ、気を付けて!」
つるつると滑る地面に四苦八苦していたティアラが転びそうになり、慌てて手を伸ばして腰を支えると、肩で息をついた。
「す、すみません」
「これ以上は何も発見できそうにありません。オーディン、空中庭園へ戻りましょう」
「そうですね、女性たちには堪える寒さでしょうし戻りましょうか。後はコハク様がなんとかしてくれるでしょう。この国の現状については大体わかりましたし」
…ノームとは顔見知りのようだし相変らず得体の知れない男だったが、ティアラとグラースがひそひそ話をしていたのでさりげなくリロイが背後に回り、聞き耳を立てた。
「ローズマリーとオーディンが王国再建までにくっつくかくっつかないか賭けないか?」
「じゃあ私はくっつく方」
「なに?私もだ。勝負にならないじゃないか」
渦中の2人は親しげに肩を並べて歩きながら話をしている。
「僕も混ぜてほしいな」
一票を投じた。
「う、わ…」
「水晶のパワーが…。ああなるほど、そういうことですか」
それはドラちゃんの巨体の影で、あっという間に頭上を飛び去って行くと北の方へと飛んで行く。
オーディンが1人納得して頷き、一同はくまなく街を歩き回りながら、様々な格好や表情で凍り付いている人々を痛ましげに見ていた。
「何をやってるんだか…」
「ラスが乗っているのが見えた。好きにさせてやろう」
途中グラースがまるごと凍り付いた一軒家のドアを開けようとしたのだが押しても引いても動かず、逆に手がしもやけになりそうになってノブから手を離した。
「完全に凍り付いてる」
「で、影はどこへ行ったんですか?」
リロイが問うと、オーディンはローズマリーが滑って転ばないように手を繋ぎながらくまなくあちこちを眺めていた。
「水晶の森です。あそこはコハク様が捨てられ、そして生まれ変わった場所。コハク様は意味のない行動は取りませんから放っておいても大丈夫ですよ」
「わかりました。…あっ、ティアラ、気を付けて!」
つるつると滑る地面に四苦八苦していたティアラが転びそうになり、慌てて手を伸ばして腰を支えると、肩で息をついた。
「す、すみません」
「これ以上は何も発見できそうにありません。オーディン、空中庭園へ戻りましょう」
「そうですね、女性たちには堪える寒さでしょうし戻りましょうか。後はコハク様がなんとかしてくれるでしょう。この国の現状については大体わかりましたし」
…ノームとは顔見知りのようだし相変らず得体の知れない男だったが、ティアラとグラースがひそひそ話をしていたのでさりげなくリロイが背後に回り、聞き耳を立てた。
「ローズマリーとオーディンが王国再建までにくっつくかくっつかないか賭けないか?」
「じゃあ私はくっつく方」
「なに?私もだ。勝負にならないじゃないか」
渦中の2人は親しげに肩を並べて歩きながら話をしている。
「僕も混ぜてほしいな」
一票を投じた。