魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その頃コハクとラスはドラちゃんに乗り、あっという間に水晶の森の上空へと着いていた。
…身体にびんびんと伝わる懐かしい力――
この身体に血と共に流れるのは、赤子の頃に乳代わりに水晶から与えてもらった無限の力を持つ液状になった水晶――
覚えているはずもないのだが、甘くてあたたかくて、優しかった気がする。
ラスは森の中からきらきらと光る水晶を見下ろしながら腰に回っているコハクの手に手を重ねた。
「コー、下りよ。水晶を森に返してあげなきゃ」
「ああ。ドラ、さっさと降りろよ。入り口でいいからな」
『俺はベイビィちゃんの命令しか聴かない』
「ふざけんな!その角へし折って精力剤にして飲むぞ!」
「せいりょくざい?」
ドラちゃんが少し怒って小さな炎を吐きだしながら緩やかに旋回して水晶の森の入り口に降り立つと、ラスを抱っこして下ろしてやり、ロープを外すとまた水晶を肩に担いだ。
「チビはここに居てもいいけど、どする?」
「一緒行く。ここはコーの故郷なんだからご挨拶しなきゃ」
にこーっと笑ったラスの金の髪を優しく撫で、肩を抱きながら森へ分け入ると、水晶の力がさらに身体の奥までにずんずんと響き、高揚感を覚えた。
「あーやべえ、なんかやべえ」
「何がやばいの?コー、大丈夫?」
「へーきへーき。てかご挨拶って誰にするんだよ」
「この森全部がコーのお父さんとお母さんでしょ?だから結婚のご挨拶をしなくちゃ」
…父と母は知らない。
だがラスの言う通り、ここではない所へ捨てられていたら、きっと生きてはいなかっただろう。
コハクはラスにしか見せない微笑を浮かべ、ラスはぽうっと見惚れてしまいながらぴったりとコハクにくっついて森の中心を目指した。
「これが1番大きな水晶だ。これを軸にこの森は形成されてる」
「うわあ…水晶っていうか…大きな木だね。これがコーのお父さんとお母さん…」
「ぶふっ、父親も母親もいっしょくたかよ」
青白く光る巨大な水晶はあたかも大木のような佇まいで、コハクは肩から水晶を下ろして、その場にラスと座ると見上げた。
「…帰って来たぜ」
“お帰り”
…身体にびんびんと伝わる懐かしい力――
この身体に血と共に流れるのは、赤子の頃に乳代わりに水晶から与えてもらった無限の力を持つ液状になった水晶――
覚えているはずもないのだが、甘くてあたたかくて、優しかった気がする。
ラスは森の中からきらきらと光る水晶を見下ろしながら腰に回っているコハクの手に手を重ねた。
「コー、下りよ。水晶を森に返してあげなきゃ」
「ああ。ドラ、さっさと降りろよ。入り口でいいからな」
『俺はベイビィちゃんの命令しか聴かない』
「ふざけんな!その角へし折って精力剤にして飲むぞ!」
「せいりょくざい?」
ドラちゃんが少し怒って小さな炎を吐きだしながら緩やかに旋回して水晶の森の入り口に降り立つと、ラスを抱っこして下ろしてやり、ロープを外すとまた水晶を肩に担いだ。
「チビはここに居てもいいけど、どする?」
「一緒行く。ここはコーの故郷なんだからご挨拶しなきゃ」
にこーっと笑ったラスの金の髪を優しく撫で、肩を抱きながら森へ分け入ると、水晶の力がさらに身体の奥までにずんずんと響き、高揚感を覚えた。
「あーやべえ、なんかやべえ」
「何がやばいの?コー、大丈夫?」
「へーきへーき。てかご挨拶って誰にするんだよ」
「この森全部がコーのお父さんとお母さんでしょ?だから結婚のご挨拶をしなくちゃ」
…父と母は知らない。
だがラスの言う通り、ここではない所へ捨てられていたら、きっと生きてはいなかっただろう。
コハクはラスにしか見せない微笑を浮かべ、ラスはぽうっと見惚れてしまいながらぴったりとコハクにくっついて森の中心を目指した。
「これが1番大きな水晶だ。これを軸にこの森は形成されてる」
「うわあ…水晶っていうか…大きな木だね。これがコーのお父さんとお母さん…」
「ぶふっ、父親も母親もいっしょくたかよ」
青白く光る巨大な水晶はあたかも大木のような佇まいで、コハクは肩から水晶を下ろして、その場にラスと座ると見上げた。
「…帰って来たぜ」
“お帰り”