魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクにとって女王の言葉と存在はくすぐったくて、“私の子”と呼ばれて耳が赤くなってしまい、ラスから引っ張られた。


「コー、耳が真っ赤」


「うっせ。つまりこの欠片に呼びかければ応えは返ってくるのか?」


『お前の呼びかけになら』


「ふーん、わぁった。じゃ、戻るかー」


「ねえコー」


――ラスからこそこそと耳打ちをされて言われた言葉に、コハクは思わず叫び声を上げて5㎝とない距離でさも名案だと言わんばかりに瞳をきらきらさせているラスと視線を合わせた。


「えー!?いやだし!」


「でも絶対喜んでくれると思うの。ね、言ってみて?お願いコー」


『?』


…数分間口をもごもごさせて迷ったが…時間が惜しい。

覚悟を決めたコハクはラスを抱え直すと森の出入り口に身体を向けて、限りなく小さな声でラスから提案された言葉を口に乗せた。



「…じゃあな、また来る。…………母さん」


『…!ええ、待っているわ、私の息子…!』



今にも泣き出しそうにしながら瞳を潤ませた水晶の森の女王にラスが小さく手を振ると同じように手を振り返した直後…森の水晶が一斉に光を発した。


「うわぁっ、コー見て!すっごく綺麗…」


「ああそうだな。ったく…恥ずかしいこと言わせんなよな。あー気まずかった!」


「でも喜んでたでしょ?コーが照れるなんて珍しいね、可愛い」


今度はラスから照れさせられた魔王は…デレまくった。


「男に可愛いとか言うなよな。それにチビの方が可愛いしー、やわらかいしー、いい匂いするし。早く触りまくりてえなー」


「コーが頑張ってくれたらなんでもしていいよ」


「マジでか!よーし、張り切るぞー!おいドラ、さっさと飛べ!」


待っていたドラちゃんがラスに鼻面を寄せて可愛がってもらおうとすると、一瞬で嫉妬の炎が燈った魔王は思いきりドラちゃんの脚を踏みつけた。


『貴様…俺に食われたいのか』


「俺が食いたいのはチビだけー」


「ドラちゃん、安全運転でお願いね」


力強く翼を羽ばたかせ、ドラちゃんが飛び立つ。

コハクは上空から母にしばしの別れを告げた。
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